「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

「基地の町」から「明るく住みよい町」に
東京都立川市 立川市新生活運動推進協議会
 立川市は、東京の西部・多摩地区のほぼ中央にある。立川基地が今から18年前に全面返還されて以来、町のイメージや景観は大きく変わり、立川市新生活運動推進協議会(代表・加藤幹夫さん、メンバー180人)は様々な町の変遷に、時には提案し、時には抵抗しながら活動を続けてきた。メンバーは「基地の町」という負の遺産を何とかプラスに転化し、立川を心豊かな明るい住みよい町にして子どもたちに手渡したいと強く願っている。


「生活学校」によって定着した運動

 東京都内の新生活運動協議会は、昭和30年代初頭に主婦を対象とする社会教育団体として発足。立川市でこの運動が真価を発揮し出したのは、昭和41年に協議会の中に「生活学校」という新しい活動のスタイルを導入してからである。その年の9月、PTA連合会の席上、市の社会教育課長から生活学校を作ってはとの発言にさっそく準備委員会が設けられ、「立川市生活学校」が開校した。その後運動の輪を広げながら大小のグループが幾つも育った。
 発足当初、参加者の関心を集めたのは有害食品添加物の問題だった。都立立川短期大学の先生方の協力の下、防腐剤「デヒドロ酢酸」や合成着色料の検出実験などに取り組み大きな成果を上げた。このような生活学校の存在と活動は、古くからの地域組織である自治会や婦人会などにも刺激を与え、地域活性化の要因となったのである。


おいしい水を呼び戻そう

 生活学校の母体である立川市新生活運動推進協議会が一貫して取り組んできたのは環境・省資源の問題である。大気汚染調査をきっかけに公害監視委員会が設置され、市議会に提出した「リサイクルセンクー」設置の請願も採択され、ごみ問題対策委員会には代表が委員として参画している。こうした実践の積み重ねを経て、ここ数年最も力を入れているのが水資源の問題で、「個人が手軽に実行できる雨水の有効利用を考えるべき」との声から雨水リサイクル運動の先進地を視察。阪神大震災でも大きな威力を発揮したという雨水浸透枡の設置を請願しており、現在庁内プロジェクトで検討中との中間報告を受けた。平成7年に土浦市で開催される「世界湖沼会議」ヘの参加を決め、21世紀にも安心して飲料水が確保でき大地に負荷を与えない運動を進め、よい環境を次代に遺産として残していこうと活動している。