「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

国際交流に貢献した先人に学び、町づくりを
鳥取県岩美町 オフィス21
 地元出身の国際交流に貢献した先人、初代国連大使の澤田廉三さんとその妻で「エリザベス・サンダースホーム」の創始者美喜さんの業績を偲び、国際交流を考え、それを町づくりに活かしている集団がある。オフィス互21(代表・河下哲志さんメンバー20人)である。


国際化に貢献した澤田夫妻のメモリアルを

 平成3年4月、岩美町をおもしろい町にしょうと10人のメンバーが集まった。毎月1回、メンバーの一人が経営する喫茶店に集まり、談話会を催したり、講師を交えての勉強会をもった。その中で、「岩美町に何をしてもらうか」という姿勢から「岩美町のために何をするか」という転換が求められた。早速、平成4年10月3日、「イワミ(103の日)」との語呂あわせから、地元の商店主、建築家、OLなどをメンバーとするシンポジウムの開催と「どうすっだいや」といタウン誌の発刊が始まった。
 そしてその過程で活動の方向も見えてきた。地元出身の初代国連大使を勤めた澤田廉三さんとその妻で、アメリカ軍と日本人女性の間に生まれた混血児を引き取り育てる「エリザベス・サンダースホーム」の創始者美喜さんの存在を知ったことからだ。美喜さんは、ホームの子どもたちを、別荘のあるこの地に30年にわたり連れて来ていた。全国のどこにでもあるような田舎でありながら、日本の国際化に貢献した先人がこの地にいたこと。これがメンバ−たちに大きな刺激を与えた。このことを後世に残したいと「澤田メモリアル」と名づけ、澤田夫妻ゆかりの人々にも呼びかけ委員会を作り活動を開始した。


工リザベス・サンダースホーム同窓会の開催へ

 まず、澤田別荘の復興・整備から始められた。900坪の敷地をもつ別荘は、15年にわたり手がつけられなかったため、背丈以上の笹がはえ、雑木で鬱蒼とし、建物も朽ち果てようとしていた。早速、笹を刈り、家の整備をした。さらに2、000人に上るサンダースホーム卒業生の同窓会が行われようとしている。現在卒業生で所在のわかるのはわずかに160人だ。それも全世界に散らばっている。この卒業生の同窓会をゆかりのこの地で開惟しようとしている。
 メンバーたちは、澤田夫妻の意志を継いで地球規模の国際交流を進め、そのことにより、岩美の活性化を図ろうとしている。