「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

子ども読書会や人形劇で出会いの場づくり
佐賀県三日月町 おはなし会「三日月」
 母親が主体となって運営、良い本を子どもたちと一緒に読んだり、手作り人形劇や紙芝居、大型絵巻物、影絵を披露し子どもや母親のネットワーク、心豊かなまちづくりを目指し活動を続けているのが、おはなし会「三日月」(代表・上野美智子さん、スタッフ11人)である。同会の前身は7家族で発足した初田文庫、昭和60年に三日月町公民館のサークル活動の一環でスタートし、10周年を迎え記念誌「こどもたちとともに」も発行した。


母子が集まりおはなしと本を楽しむ

 毎週水曜日は、おはなし会。午後3時近くに運営スタッフの母親は、公民館の和室で会の準備をしながら三々五々に集まる親子を待つ。参加した親子は先週借りた本を返し、今週借りる本を選んで会の始まりを待つ。この間部屋を飛び回ったり、折り紙したり、本を読んだリ、宿題をする小学生もいる。
 3時30分に、その月にちなんだ歌を唄って(6月は雨)おはなし会を始める。始まる頃にぎやかな部屋もだんだん静かに話しに聞き入るようになる。終わると、手遊びや折り紙工作をし次の話を聞く。こうした会が年40回、平均40人の親子が参加する。毎回楽しみに待っている子もいれば、久しぶりに顔を見せる子も、入会(会費月100円)しているからといって強く参加を求めたりせず、だれが来ても受け入れる、をモットーの運営である。この10年で400回開かれ、800話のおはなしが語られたことになる。昭和62年には、日本生命財団の助成金110万円があり、会が所有する図書は3、000冊になる。


オリジナルな宝物を所有し精力的に活動

 運営スタッフは、毎週金曜日お母さんの会に集まり、おはなし会の当番や会の運営、行事への参加企画などを協議する。定例会以外にも、クリスマス会や子ども文化祭などを実施、人形劇やパネルシアターを上演する。また、親子での植物採集、星空観察、デイキャンプ、大分県玖珠町「童話の里」との交流活動なども行っている。
 さらに、おはなし会は、人形劇「三枚のお札」など6点、紙芝居11点、ペープサート、パネルシアター各2点、絵巻物の宝物を所有し、スタッフは町内外の保育園・幼稚園・小学校・養護学校等で人形劇や紙芝居を披露してきた。こうした精力的な清動が功を奏し平成8年4月には、町立図書館が完成する。スタッフは次の10年を目指し歩み出している。