「ふるさとづくり'96」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

住民と行政のパートナーシップのまちづくり
宮城県 丸森町
 丸森町は、昭和54年に整備した「高齢者生産活動センター」があり、5つの生産部会(わら細工、竹細工、園芸、食品加工、織物)が組織され高齢者の生き甲斐づくり活動が活発に実践されている。昭和61年からは「シルバーランド計画」をつくり、阿武隈川ライン舟下りやいかだ下り大会、丸森いちなどのイベントを開催、そして、第3セクター阿武隈急行線の開通を機に、「斎理屋敷」、「産業伝承館」を整備した観光開発、平成2年からは「丸森ルネッサンス構想」に基づいて、まちづくりを進めている。


丸森ルネッサンス構想

 「斎理屋敷」では、年に端午の節句、斎理のお正月、斎理の雛祭り、斎理幻夜と4つの行事が住民と町のタイアップで行われる。とりわけ斎理幻夜は、屋敷の蔵5棟、居宅をライトアップ、周辺には400基の手作り絵灯篭が飾られ、コンサートや演劇、影絵等趣向凝らした音と光の幻想的な祭りは内外から高く評価されている。
 「産業伝承館」は、阿武隈ライン舟下りの発着点と阿武限急行駅の待合室を兼ね、古い民具類の展示や伝統技術の紹介、屋外ではバーベキューパーティーも住民の手で行われている。
 丸森町には、観光客が大勢訪れるようになったことから、「丸森ルネッサンス構想」を打ち出し施設の整備を進め、住民は施設を利用したイベントに積極的に取り組むことにした。
 丸森町を象徴する阿武隈渓谷県立自然公園にある、不動尊公園には自然体験学習施設「自然ゆうゆう館・天水舎」を設置、公園内キャンプ場では都市住民との交流を図る「黒べご肉まつり」大バーベキュー大会が開かれている。公園には年間5万を越える人が訪れる。


内外交流を通じての人材育成

 丸森駅前には、駐車場が整備され植栽、歩道も整い、阿武限急行は毎月1日に600円で全線乗り放題のサービスを実施している。日曜日と重なる日には、町おこしグループ「舘矢間まさか団」が観光客へ牛乳や甘酒等のサービスを行う。さらに、郷土芸能「松掛神楽」等を披露し「ようこそ丸森へ」の歓迎イベントを開催している。
 そして、神楽の伝承がきっかけとなって、北海道端野町との交流が行われている。当初の保存会間から町同士で、現在は、小・中学生の相互交流にまで発展した。
 海外交流は、平成2年にカリフォルニア州ヘメット市と姉妹都市を結び、2年前から中学生10人が親善訪問団となって、現地でホームステイや体験入学を実施している。このように、国内外の交流を通して、次代を担う小・中学生を大切にしたまちづくりを重要な柱にしている。