「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

霧多布湿原の自然にマッチした町並みづくり
北海道浜中町 はまなか21世紀プラン会議
 浜中町は、酪農と漁業の盛んなまちであるが、このまちが好きな人、ファンを増やすため、住んでいる人々が「このまちはいいまちだ、住んでいてよかった」と思える美しい町並み景観の向上や、ファンを増やす一環に高校生の修学旅行を受け入れる活動などに取り組んでいるのが、昭和61年に発足した「はまなか21世紀プラン会議」(代表・瓜田勝也さん、メンバー16人)である。


ストリートファニチャーの設置

 同会議は、世界に誇れる素晴らしい霧多布湿原の美しい自然に恵まれた浜中町を、人も素晴らしく、町並みも美しくなければと、「町並み研究会」を重ね、町中の不要な看板の撤去や美観を損ねる看板の取り替え、道路の案内表示を美観に配慮した内容に改善したり、さらに、関係筋に要請や提言をしている。
 そして、仲の浜地区2キロの通りに沿う各家庭に、ストリートファニチャー(実用街路景観物)としての「多目的新聞受」を路肩に整然と50基を設置した。これは、本体を統一デザインで作成、その上部に魚、昆布、星などを図案化し、ステンレスを切り抜いて飾りつけており道行く人々の注目を引き、町並み景観の向上と住民が街を見直すモデルになっている。
 この活動では、公道路肩に新聞受けを設置するための道路管理者(北海道)の許可、目的にマッチしたデザイン製作、設置作業など苦労も多かったが、町当局の理解と協力、専門家の助言で実現した。


はまなかのファンを増やす

 9年前から、東京の明星学園高校をはじめ、大阪・上宮太子高校、3年前から埼玉・自由の森学園高校の体験修学旅行生を受け入れ、昨年まで延べ1,200人を数える。これは当初、同会議の指標である「はまなかのファンを増やす」活動の一つとして実施したが、数年後には町当局と共同で継続しており、今年も3高校の300人を受け入れる予定でいる。
 生徒たちの体験メニューは、浜辺で「鮭のちゃんちゃん焼き」で歓迎会後各家庭に分散、酪農家では、搾乳、給餌、牛舎の清掃、漁家では昆布採取や干し方などで、共通行動は、町研修牧場の見学や鮭の新巻づくりで2泊3日の日程である。この中の自由の森学園高校は、霧多布岬でキャンプを張り、海と湿原での生物、地勢などの自然体験もした。
 こうした体験が、各学校祭での「はまなかコーナー」に現され、そこに招待される機会には、地域の人々と交流を深めては確実に「はまなかファン」を増やす努力を続けている。同会議の最終目標は、長いスパンと広い視野でエコミュージアム浜中を実現することである。