「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

子どもの心に豊かな原風景を
宮崎県宮崎市 野の花館設立準備会
 野の花館設立準備会(代表・永野寛さん、メンバー62人)は、「子どもに夢を!たくましく豊かな創造性を!」をめざし、移築した古い民家を拠点に活動をつづけている。野の花館は建設途上にあるが、日常活動に支障がないため文庫活動を皮切りに中・高校生の合宿、野の花館講座などとして活用されている。そして、子どもの心に豊かな原風景を甦らせている。


120年前民家を移築し活動拠点

 20年前から県内で「子ども劇場、おやこ劇場」の活動を続けていた人たちが、16年目の1991年に「夢構想委員会」を組織し、子どもの育つ環境について話し合ってきた。この時期に民家と土地の提供を受けたのである。それは高千穂町で築後120年になる民家を高鍋町に移築し、「子どもたちの自然や生活体験の場」に、また「心豊かな子どもたちを育てる大人の連帯の場」としての野の花館建設が動き出したのである。
 この館は、外装がほぼ完成した段階で一期工事は終わり、現在は、全国からの多くの賛同者も得て、館の完成をめざし資金づくりに取り組んでいる。そこで「この空間を遊ばせていてはもったいない」と月2回の「野の花文庫」が開設され、それに合わせ、春には庭の草花を団子や天ぷらにして「春を食べる会」や7月には七夕飾りをつくり笹舟流し、あるいは季節によって十五夜まつり、年忘れ会などの活動が行われた。その中から自然や遊びがどれだけ子どもの心身を育ているかなど、親同士の話し合が続けられている。
 日常生活の中に文化芸術が息づくことを実現するために、夜神楽の舞台がヒントとなり、能舞台風の野外ステージを館に増設。この舞台で'95年秋と'96年に野の花館まつりを2回公演し、いずれも素晴らしいファンタジーの世界にいざなった。さらに、'96年には年5回の連続企画として、県内各地に伝わる素朴な語りを「みやざきのかたりべ」として開催した。


生活文化を学ぶ子どもたち

 日常活動としては、中・高校生の合宿や結婚を祝う会、子どもの学校、野の花館講座などがある。どの行事にも青年や子どもたちが自主的に参加し、自らみつけた役割を果たしているし、館の障子貼りや薪割り、炊事などの作業を通じ生活文化を学び合っている。
 こうして、古い民家を活かした「子ども文化の拠点づくり」が着々と進んでいる。