「ふるさとづくり'97」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

「あなたも太古の土に触れてみませんか」彫刻による町おこし
鹿児島県 樋脇町
 樋脇町は、地元産出の珪藻土を使い、「あなたも太古の土に触れてみませんか」をキャッチコピーに全国的に類をみない屋外でのユニークな彫刻大会を平成2年度から開催している。大会当日には、家族、友達同士で1つの彫刻を作成し、その日の内に審査結果が発表される。夏の入道雲の下、お父さん、お母さん、子どもたちが汗を流しながら、楽しみながら彫刻刀をふるっている。


地元の資源を生かして彫刻大会開催

 温泉とスポーツで有名な町。しかし、文化的行事に触れる機会が少ないことから地元資源を活用した催しができないものかと模索した結果、「ひわき まるやま彫刻大会」が開催されることになった。樋脇町からは各種工業製品の原材料となる珪藻土が出る。これを使って彫刻大会への参加を呼びかけた。
 この大会を始める前には、採掘現場に何度となく出向き、珪藻土が彫刻素材として利用できるか現場の作業員と試作してみるなど、積極的な試みを幾度となく繰り返した。さらに指導者にこの素材を届けて、実際に彫刻してもらうこともした。その結果ようやく樋脇産珪藻土で彫刻大会開催にこぎつけた。


澄み渡った樋脇の青空の下で

 大会の指導者として、全国の彫塑展で入賞した鹿児島県指宿市の美術の先生に大会当初からお願いしたり、県内小中学校、高校の美術担当教師や鹿児島大学の美術部の部員などにもお願いし、町の文化的行事を盛り上げている。
 平成7年度からはより楽しく、多くの人に参加してもらえるようにと、ファミリー部門を設けるとともに、県内の学校対抗彫刻競技会も実施し、数多くの参加を得た。
大会終了時の参加者のアンケートには、「自然の中の大会がよかった」「暑さも忘れて彫った」「次回は友たちも誘って参加したい」「親子で参加し楽しかった」など関係者にとっても次回につながる嬉しい声が届けられている。
 このような大会は建物の中で開催されることが多い。しかしこの彫刻大会は、澄み渡った樋脇の青空の下、緑いっぱいの山の中腹にある自然公園の一角で、自然に触れながら、家族で、友たちで楽しみながら開かれている。