「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地球家族のきずな求めて
栃木県宇都宮市 いっくら国際文化交流会
 字郡宮市内を中心に栃木県内のあらゆる年齢層の女性が手をつなぎ、女性ならではの感性で地域に密着した国際交流をしたいと結成されたのが、いっくら国際文化交流会(代表・長門芳子さんメンバー70人)だ。イベントの開催、日常活動である日本語教室ののほか、お互いの考えを埋解するため、民話の翻訳など生活文化の交流も積極的に進めている。


女性の感性生かした交流を

 15年前、代表の長門さんは夫の転勤で字都宮市に住むことになった。その頃、国際化の波が押し寄せてきていた。長門さんは、それまでのユネスコ活動での経験をもとに、地域に密着した国際交流を広めたいと、マスコミを通じて、女性に参加を呼びかけ、活動が始まった。「いっくら」とは栃末の方言かと聞かれるが、実際は Inter-Cultural community life Associationの頭文字ICCLAからとった。
 県内に住む外国人への日常生活に関するアンケートの実施を皮切りに、講演会、シンポジウムなどを通じた異文化の理解、郷土理解のための啓発事業、外務省などの要請を受け年間100人から150人を受け入れるホームステイ、オーストラリアなどへの高校生の海外派遣、押しかけ文化交流と称するモンゴルなどにメンバーが出かけ交流したりと、さまざまな活動を展開することになった。いっくら国際井戸端会議というイベントでは、県内に住む外国人とお互いのお国自慢の料理や風習を紹介し合っている。宇郡宮で日本語や日本文化にふれた留学生たちが、その後どこに住んでもすんなりと溶け込めるのも、いっくら国際文化交流会が果してきた役割である。


モンゴルと日本の民話の対訳も

 出版活動にも力を入れ、年4回発行する機関紙のほか、県内民話の「殺生石」を題材に英語、モンゴル語訳本の発行、モンゴルと日本の民話を対訳して出版している。そのほかにも、ホストファミリーのための日本語教室、ボランテイア人材養成講座など日常的な活動も続けられている。
 「3年も続けば」と思われていた活動が15年も続いた。それだけではなGlobal Thinking,Lokal Action (地域の中で今、できることから始めよう)をモットーにした一連の活動は分野や地域をこえて、多くの人の共感を呼び県内外に広がっていった。また、会においても、各メンバーの自主性を尊重し、お互いの信頼を墓盤に活動してきたことが、活動を予想以上にダイナミックな内容にした。豊かな自然や歴史の中で、ハイテクやバイオ開連の産業と、新旧混住するようになった栃木の独自性を生かし、宇都宮発の民間外交をますます広げていきたいと、夢はふくらむ。