「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

これからの時代の老後の生き方を求めて
富山県富山市 年をとらないための生活講座
 まだ市民大学も生涯学習室もない頃、有志が幸福な老後の準備をしようと「老後を学ぶ教室を作ってください」と、市長に訴えた。いくつもの条件を克服して、年をとらないための生活講座(代表・三輪真規子さんメンバー100人)が生まれた。健康維持・増進のための食生活や健康、介護を学ぶ教室の開設、レクリエーション、ストレッチ体操、コーラス、リズム体操などの実技講習が続いた。このほか心身障害者施設や老人保健施設の訪問ボランティア、四季折々の観光ボランティア等多彩な活動を展開している。


会員が増え続けた10年

 昭和49年当時、市には市長相談日が設けられていた。三輪さんの仲間は新しい時代の老後に不安を感じ、「幸福な老後の準備をしよう」と考えていた。話し合いの中で、市長相談日に「老後を学ぶ教室を作ってください」と、市長に訴えることにした。
 話を聞いて、市では、(1)市は試験的に毎月5000円の講師謝礼と無料の会場を提供する、(2)しかし、受講者が50人に満たないときには助成を中止する、(3)公民館での自主運営とする、というものであった。
 これを受けて、名称を「年をとらないための生活講座」として、正式に発足した。
 開講当日、会場には、幸いにも100名近い中年の女性が集まってきた。この機会を逃してはならないと、講演の後に童謡を歌ったり、リズム体操を取り入れた。
 市との約束もあり、参加者には「きっときてください」と次回の参加をお願いしたり、参加者に往復葉書を出して継続希望の意向を尋ねたりした。80名が継続の希望を伝えてきて、市との約束は守られることになった。
 コーラスもリズム体操も好評ではあったが、始めて使った図書館は規制が厳しく、その後、公民館、消防署、郵便局と無料の会場を探す苦労を続けた。
 活動を始めて10年、市の助成金も増え、会員も300人を越えるようになったが、会場は有料となり、運営もむづかしくなってきた。しかし、平成になっても会員は増え続け、平成9年には650名を超えるまでになっている。


ボランティアに生きがいを見つけて

 会員が増え続けたのは、何故なのだろうか。そのひとつは、知的障害者施設で日本舞踊をしている生徒たちに発表の機会を与えて懇談会を開いたり、同施設と共催してふれあいコンサートを開くとともに、地元の住民の理解を求めてポスターはりやチラシの配布などの応援をしてきたからである。富山城にまつわる歴史等を観光ボランティアとして活動してきたためでもある。
 会員は、50代から80代で、病気を持っている人も少なくないが、運動会や遠足にも喜々として参加している。