「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

藍染に魅せられ郷土文化の蘇生
徳島県徳島市 西富田藍の会
 地域住民が郷土文化の「藍染」に取り組み、ふれあいを大切にしながら楽しく、豊かな文化に富んだふるさとづくりに力を入れている。8年間に藍染の技法などを学び、作品を銀行や病院で展示するまでになっている。さらに、ゼミナールを開き市民に藍染を広めている。これらの活動をすすめているのは西富田藍の会(代表・荒瀬俊之さんメンバー60人)である。


藍染を通じ地域活性化

 藍染は、藍液の作り方から始めた。1週間もすると見事な藍の華ができた。これを常時20〜30度、そしてPh11に保っておく。藍液をつくる『藍建』の知識はなかったが、教わりながら優秀な藍液を確保している。
 同会では、毎年異なった藍染技法にチャレンジし、一つひとつ習得。8年の歳月を通して、やっと一般に行われている藍染の技法のひととおりを経験することができた。
 最初の年は、藍建と簡単な絞り染め。2年目は、型紙づくりと型紙を使用しての型染。3年目は、抜染法、4年目は、ろうけつ染。5年自は、抜染法による藍染コースターづくり。これは、東四国国体の国体事務局からの依頼で、選手、役員の接待用に1500枚作成し、大変喜ばれた。6年目は、捺染法。これは、化学染料を使いTシャツ等にプリントするものである。藍染とは趣を異にするが何でも「経験」である。7、8年目は、単純なようでもっとも複雑な絞り染のいろいろな模様のつくり方を勉強。
 同会の活動では、まず100歳以上の高齢者に贈る藍染記念品の製作がある。敬老の日の贈り物として平成3年から徳烏市より依頼を受け、毎年継続している。また、徳島市文化活動の一環として市民教室「藍遊々染ゼミナール」を同会が担当。市内で開催している。平成9年度は、北部の渭北公民館で実施した。同会は、藍染を通じ住民相互の意志疎通や地域の活性化を図っている。


国体記念品づくりにも取り組む

 東四国国体の記念品としてコースターづくりをしたが、民間における国体への協力ということで新聞社や放送局からの取材が相次いだ。とくに、徳島ビデオ研究会から「地域の人びとが藍染研究をしている場面を撮影したい」という申し入れがあり、撮影に応じた。これは、小・中学校用教材として、阿波の伝統文化「藍染のすべて」に収録されている。
 さらに、銀行の支店や病院から「ロビーに作品展示」の誘いがあり、訪れる人びとのこころをなごませている。
 同会は、藍染の継承と染文化に親しみながら、ふれあいと生涯学習として取り組み、コミュニティ活動を進めている。