「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

夢、希望、優しさのある子どもごころ美術館づくり
香川県内海町 「子どもごころ美術館」を育てる会
 「夢」「希望」「優しさ」をテーマに「子どもごころ美術館」づくりが、94年5月に始まった。瀬戸内海に浮かぶ「小豆島」が活動の舞台である。この島には、今日の地域社会が抱えるいくつかのひずみを解決するための条件が備わっており、ボランティアの参加によって少しずつ煩わしい規制もない社会教育施設となっている。この活動を進めているのは、「子どもごころ美術館」を育てる会(代表・北條カツ昭さんメンバー50人)。


過程を大切にする生涯学習の場

 内海町西村のオリーブ園のすぐ上に、海の見えるゆるやかな南斜面に5000坪の子どもごころ美術館がある。
 この施設は、大金を投じて建設したのではない。子どもからお年寄りまでの多くの人びとの知恵と力、恩いを寄せあい、つくる過程を大切にする生涯学習の場である。
 草刈りから始まり、刈り終わったのが3か月後であった。樹木の間伐作業に1年間を費やし、さらに、整地や道づくり、小屋づくりやトイレづくりの大工仕事、ペンキ塗り、さらに花壇、果物畑の手入れなども行う。そして、美術館づくりに必要な資材、窓、ドア、テーブル、イス、棚、冷蔵庫、食器、ベッド、布団、毛布など次から次にリサイクル情報が届き、トラックで何十台もの品物が集まった。


多様なボランティアが参加

 毎月1回の「ボランティアの日」を設け作業が進んでいる。ボランティアは親子をはじめ中学生・高校生グループ、各種サークル、お年寄りのグループ、幼稚園児・小学生のグループ、心にハンディを持った人たちのグループ、ログビルダーグループと多様である。
 美術館は、1階は展示、学習、制作の場に、2階は読書をしたり、ベッドの並ぶ寝室がある。そして広場はキャンプ場となっており、この美術館は、さらにつくり続けられている。これまでに実施されたプログラムは、(1)アートキャンプ(芸術創造)、(2)エコロジーキャンプ(自然体験)、(3)ファミリーキャンプ(伝統的生活体験)、(4)「高校生ボランティアスクール」(香川県教育委員会)、(5)子どもにとって学校外活動(NHKで放送)等である。
 この活動は、テレビ、ラジオ、新聞で紹介され、また、各種講演会等でも発表の機会があり、いろいろな人に知ってもらい、利用もされている。とりわけ、香川県教育委員会等に利用されていることは、この活動への理解のあらわれである。