「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

留学生との温かな人間交流
大分県大分市 留学生と交流を進める会
 大分市大在地区には日本文理大学や同大学付属日本語専門学院があり、アジアやヨーロッパ、アメリカなどから留学生が来ている。留学生と交流を進める会(代表・斉藤武文さんメンバー44人)は地区在住の留学生を各種催しに招待して交流を深めている。交流のための行事は、6月の留学生を迎える会に始まり、10月に観月交流会、11月に交流グラウンドゴルフ大会・交流焼肉大会、1月に交流餅つき大会・留学生を送る会を開いている。


異国の地で学問を志す留学生のために

 かつての大在村は、人口わずか7000ほどののり養殖、みかん栽培、稲作が中心のこじんまりとした静かな農村であったが、昭和42年の大分工業大学(現日本文理大学)の開校と大規模な区画整理事業の着手によってまちの様相は一変した。人口は急増し、今や17000人となっている。
 昭和59年に、日本文理大学に日本語専門学院が付属校として開設され、町にアジアの国々を中心にした留学生が居住するようになったが、外国人と接することの少なかった当時の住民は、言葉や文化の違いに戸惑いを見せ、中には外国人学生のアルバイトを拒否する商店もあった。
 この事態を憂いた故高橋敏夫さんは、生活環境も違う異国の地で学問を志す留学生のために何か手助けはできないものかと有志に呼びかけて、昭和61年に「留学生と交流を進める会」を結成、取り組みの第一歩を踏み出した。
 初年度は暗中模索の状態であったが、とにかく交流のための行事を行うことにし、(1)交流花見会、(2)交流懇談会、(3)盆踊り大会への参加、(4)観月交流会、(5)交流みかん狩り、(6)交流餅つき大会、(7)海外研修を計画した。盆踊り大会への参加だけは留学生が夏休みで帰国するために中止となったが、他の計画はすべて実行できた。2年目は、新たにスポーツ交流大会を加え、6年目には行事の見直しを行い、(1)新入生を迎える会、(2)観月交流会、(3)交流みかん狩り・焼き肉大会、(4)交流餅つき大会・留学生を送る会の4つの行事にまとめた。


第2の故郷になる温かな人間交流を

 平成8年には交流みかん狩りをグラウンドゴルフ協会運営による「交流グラウンドゴルフ大会」に変更し、これまでの会員だけの交流会から地域の交流会へと拡大した。
 スタートして11年が経過したが、好調な時ばかりではなかった。活動意欲が薄れてきたり、会員が減少したり、留学生の参加が少なくて行事が中止になったりして、落ち込むときもあったが、大分エル・エヌ・ジーやライオンズクラブの支援と公民館など関係機関の協力のお陰でここまで発展することができた。
 留学生にとってこの町が第2の故郷になるように、温かい心の通い合った人間交流ができればと思いながらメンバーは取り組んでいる。