「ふるさとづくり'98」掲載
<個人の部>ふるさとづくり振興奨励賞

団地から地域へ広げたデポジットの輪
大分県別府市 縄田ムツ
 別府市に住んでいた縄田さんは、縁あって扇山の麓に造成された団地に居を構えることになった。当初より自治会に積極的に関わり、団地内の清掃活動から始まり、生活学校として地域の環境問題にまで運動の輸を広げていったのである。今では住民相互のまとまりがたいへん良く、住み心地満点の団地として他の地区からうらやましがられる団地に成長してきている。


団地自治会から生活学校運動へ

 昭和42年、縄田さんは扇山団地に入居と同時に婦人部を結成した。以来、子どもを中心としたいろいろな行事の先頭に立ち、努力し初代会長に就任し住民同士の交流も深まってきた。観光都市としての別府市は婦人の就労の場も多く、「いつも活動できる人」は限られていた。しかし、縄田さんは、廃品回収の集積場所として自宅の駐車場を開放したり、会議にも進んで自宅を提供するなど積極的に活動を続けた。会員の相談に気軽に応じたり、常に親睦を図り楽しく活動していくことを心がける明るい性格により、人望も厚く、リーダーシップを発揮した。
 また、扇山地区の自治会活動にも携わる中、若者のモラルの無さ、子どもの飲み物のこと、市のごみ収集の方法などについて考えることが多くなっていった。ちようどその頃、市の教育委員会から生活学校運動への参加を呼びかけられたのである。


デポジットキャンペーンに取り組んで

 行政、事業者、学識経験者の方がたと話し含いながら、問題を解決していくという、今までに聞いたこともないシステムに、縄田さんは大いに心引かれた。昭和54年正式に扇山生活学校を発足し、教育委員会や他の団体・グループとの連携にも努めた。
 しかし、地域活動を進める中で、九州横断道路開通にともない、空き缶の投げ捨てが目につきはじめた。住民の間から美化活動の声があがり、空き缶回収のリサイクル「ミニ・デポジットキャンペーン活動」に取り組むことになった。これは全国唯一のシステム構築となり、注目を集めた。この運動も今年で10周年になる。これらの活動が原動力となり別府市内の他の地域、子供会、小・中・高等学校などにもデポジットリサイクル運動が広がり、市民の環境意識が高められた。
 現在縄田さんは、生涯学習活動を通しての地域活性化や青少年の健全青成の推進など社会活動に深く関わり活躍している。今後とも地域から期待されるまちづくりに向け、さらに力を発揮してくれることであろう。