「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

無限の可能性にチャレンジできる場が欲しい
岩手県花巻市 劇団「ZENT-YOYO-CLUB」
 障害児と健常者の自由な交流の場を設けたい、という障害者団体の願いを受けて、以前から交流のあったボランティア団体が、献身的な努力の末に見事実現した。その達成感から「自分の無限の可能性にチャレンジできる場や、自分たちのメッセージを発表できる場が欲しい」と、昭和61年、劇団「ZENT─YOYO─CLUB」(代表・志村尚一さん、メンバー70人)を結成。手作りの創作劇で団員の熱い思いを伝えてきた。


チャレンジ精神が活き活き輝く団員を生む

 障害児のために開設した「わたぼうし農場」に、野外ステージを作りたいという「花巻市手をつなぐ親の会」の願いを実現しようとボランティア団体が取り組んだ。建設資金調達コンサートの企画運営から材料調達、建設工事にと汗を流し、畳50枚分の大きな野外ステージを完成させた達成感、無から有を作り出す喜びや汗を流す楽しさが、参加した人びとを、ボランティアから劇団という次のステージへと導いたのである。
団員は現在70人。20代、30代を中心に、上は72歳の男性から下は3歳の子供まで幅広く、会社員、公務員、看護婦、保母といった社会人から大学生、高校生などと多彩だ。劇団の第1回公演は昭和62年の秋。200席の花巻市文化会館で開いた。演題は「粘土細工の若者たち」。現代の若者たちの心情を、一度固まると融通性がなくなる粘土細工に例えたオリジナル劇だったが結果は大成功。団員は肩を抱き合い泣いて喜び合った。
2回目は、63年夏、1日2回の公演にチャレンジして見事成功、2回分400枚のチケットも完売した。こうして回を重ね、平成10年の定期公演で21回を数え、今では1000席の大ホールで1日2回の公演を満席にするほどの盛況である。
全てが手作りの創作劇だけに、準備は大変だ。ポスターやパンフレットの製作、広告集め、チケット販売、台本製作、練習場の確保、大道具・小道具の製作や準備、衣装調達、メーキャップのプランニング、照明や音響の準備等々、どれ1つ欠けても本番を迎えることはできない。それを団員たちが力を合わせてやり遂げていく度に自信を深め、周囲からも「輝いてるね」「活き活きしている」と評価される原因になっている。


”社会劇団”の本領発揮して

 劇団は、定期公演の他にも、JCとは町づくり問題を、JAとは未来の農業問題を劇にして訴えたり、また公演の他にも、障害者団体に協力して「障害者の作品展示会」の開催などで、準備や運営にいたるまで、他団体とともに支援してきた。
 平成8年には、滝沢村の岩手産業文化センター『アピオ』に皇太子ご夫妻をお迎えして「第8回全国農業青年交換大会」が開かれた。その記念行事で、劇団は事業を主催した農業青年クラブと『風の劇団』を結成、「豊かさの原点〜熱き思いよ、風にのって君へ届け〜」を上演。全国から集まった2000人の青年農業者たちに大きな感動を与えた。