「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

市民手作り八王子いちょう祭り
東京都八王子市 八王子いちょう祭り祭典委員会
 20年前、八王子市は、周辺の台地が住宅団地に造成され、大学の進出もめざましく18校を数える学園都市へと新しい変貌を遂げていた。こうした地域の変化に関心をもった市民有志が、新しい動きを展開し、市民の立場でふるさとづくりに貢献しようと、昭和54年「八王子いちょう祭り祭典委員会」(代表・大野聖二さん、メンバー83人)を結成した。
 毎年11月に実施する(いちょう祭り)は今年19回を迎える。毎回、斬新なアイデアを生かしたイベントを創り、市民による市民の祭りとして定着している。


祭りのコンセプト

 委員会のメンバーは、地域の学園都市化に関心を持つ人、街づくりを考えている人など様々であるが、新しいイベントであり、若者の情熱、大学生の知性、新旧住民の連帯性等を生かした企画でいくことにし、試案を作り2回にわたり準備会議を開いた、市から企画部長・課長の出席をいただいた。
 この会議で、新しい祭りを始めるからには、既存の祭りとの競合を避け、独創的内容とする。会場は、いちょう並木の甲州街道(追分交差点から高尾駅前の約4キロ)とし、メイン会場を陵南公園付近とする。時期は、いちょう並木が黄葉の11月中旬にする。これまで、いちょう並木を守り育てきた沿道町会や新旧住民、さらに学生や若者たちに呼びかけ、市民が企画運営の中心になる。資金は、受益者負担を原則に、祭りグッズ等の販売、参加者の自主的な拠出を建前とする。名称は「いちょう祭り」にする等がまとまったのである。


企画会議重視の創造型イベントづくり

 祭りのテーマは、毎年、企画会議で検討し設定する。第1回は、市民の交流ある街づくりが、新しい地域文化を創造していくとの考えで、(1)昔から八王子の街に住んでいる人、(2)八王子の周辺に住んでいる人、(3)新しく八王子に移り住んだ人、(4)八王子で学ぶ学生や若者達の融合と調和の「4つのハーモニー」をテーマとした。以後毎回ユニークなものを設定していて、第16回の「笑顔でスタートこれから50年」は、戦後50年漫画展などがあり話題を呼んだ1つである。祭りの行事についても、斬新な提案が数多くあったが、次のような内容で実施している。
 関所オリエンテーリング、クラシックカーパレード、八王子音楽祭、ちびっこ広場、産業まつり、ギャラリーいちょう並木の6行事。それに、第2回以降は、沿道町会、八王子レクリエーション協会との共催で実施することになって、次のような4つのイベント「ふるさとバザール」「フアミリーランド」「学生広場」「ステージフエスタいちょう」も加わった。
 年々参加者も増加、毎年30万人を越える観客で賑い、3億円を上回る経済効果をもたらし、地域経済に貢献している。
 また、幸いにマスコミの熱烈な支持や市の後援、援助もあって、さらなる盛り上げを目指し、今年も企画を進めている。