「ふるさとづくり'99」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

住民の「手づくり村おこし」
岐阜県 明宝村
 明宝村は、四季折々の豊かな自然に恵まれている。この自然資源を生かす、5つの第3セクターでの特産品づくり。村民みずから収蔵品を収集して完成させた「村立博物館」は、国の有形民族文化財に指定されている。また、村民手づくりの「めいほう高原音楽祭」は、全国でも最大級の野外音楽祭に定着。村内各地域ごとの個性的な花壇での花いっぱい運動は、15年も続けていて、心豊かな村づくり活動の原動力でもある。


大きな経済効果をもたらす第3セクター

 今では、村の経済活動の中心的な企業に発展した第3セクターには、臨時の季節雇用を含め、村の就労人口の25%が従事し、大きな経済効果をもたらしている。中でも、明宝ハムを目玉に、村の特産品づくりで中核的な役割を果たす「明宝特産物加工(株)」や、年間30万人以上が訪れ、東海地区有数のスキー場に成長した、めいほうスキー場を経営する「明宝高原開発(株)」は多くの村民に雇用の場を提供している。
 また、全社員が女性の「株明宝レディス」は、地域の農産物加工、地元の山菜等を利活用する「こだわり」を持ち、村の全農家と原材料の供給契約をする等、地域の農業振興に大きく貢献している。


全国最大級の野外音楽祭り

 村立博物館は、昭和52年、旧小学校舎を改築し完成した。収蔵品は、昭和39年地元の中学生が、失われていく山村生活用具を集め保存したのが契機となり、収集活動が村民に広がった。現在、4万点以上の資料が展示され、この中で、2037点が山村生産用具、1504点が人生儀礼用具として、国の有形民族文化財に指定され、村民の宝として大切に保存している。また、音楽で村おこしをスローガンに、毎年7月最終土曜日に開催する「めいほう高原音楽祭」は、全国でも最大級の野外音楽祭に定着した。8回目を迎えた昨年は、過去最高の16500人が集まった。村のイメージアップはもとより、都市住民との交流の場としても大きな効果を上げている。この音楽祭は、事前の準備から当日の会場運営、警備、バザー等すべて村民ががスタッフとなって活動する、村民の手づくりイベントである。今後も、継続させながら「音楽の里」明宝村を全国にPRしていくことを考えている。
 花いっぱい運動は、15年前から続いている村内クリーン作戦の成果から、村民の間でさらに村を美しくしようと意識が高まり、各自治会毎に、地域で個性的な花壇づくりを実践するようになった。現在も、春から秋にかけ幹線の道路沿いは美しい花の競演が楽しめる。また、岐阜県は「花の都ぎふ」を掲げて全国的にPR活動を展開しており、明宝村も官民一体となった花づくり事業を協力に推進している。村民が、花を育て美しい村を築こうとする活動は、自然を思いやる心を育み、新しい産業を生み出し、村民の触れ合いの輪が強まると思っている。