「私たちの生活学校」135号掲載
ル ポ

リサイクルショップを協働して運営
愛知県・刈谷市 かりや消費者生活学校
 「若いお母さんが上手に利用していますよ。感心させられますね。仲良くご夫婦で来られる方もいますよ」とリサイクルショップの店員を務める生活学校のメンバーが話してくれた。若いお母さんは、子どもの成長に合わせて要らなくなった用品をリサイクルショップに出して売り、代わりにこれから成長とともにほしいものを買い求めていく。
 ショップ内には子ども用品を中心に不用品約2500点が並ぶ。1日に約50人の利用者がいて、中には出物のチェックを怠らない常連客もいるという。1日当たり約60点売れる。1か月当たりの売り上げは約40万円になる。
 愛知県刈谷市のかりや消費者生活学校(代表・池田那智子さん、メンバー数105人)のメンバーが店員を務めるリサイクルショップは交通の不便な街外れにある。もっと市街地の便利なところにあれば、利用者も増え、売り上げも増えるのだがとメンバーは残念がる。
 リサイクルショップの仕組みはこうだ。出品したい人には会員登録してもらう。登録はいつでもでき、1回登録すると2年間有効で、これまで会員登録した人は約1500人。会員登録は市内在住者に限られるが、リサイクルショップの利用は誰でもできる。
 出品したい会員はリサイクルショップに電話で予約する。1日6人まで受け付けており、予約表はいつも7週間先まで埋まっている。
 出品料は1人200円で、1人20点まで出品できる。ただし、服の出品が多いので大人服は5点まで、子ども服は10点までに限定している。値段は出品者が付ける。200円、300円といった値段が多い。ここにもデフレの波は打ち寄せ、安くしないと売れ行きが悪いという。
 品物は4週間展示し、それを過ぎると、売れ残った品を棚から引き上げる。棚から引き上げた品物は出品者別に箱に整理して、1週間後に出品者に返すと同時に売れた品物の金額を渡す。


パソコン操作に苦労しながらも…

 市役所から「リサイクルショップの運営を任せたいのだが」という話が持ち込まれたのは平成10年10月のことだった。清掃センターの2階のホールを改修し、棚やカウンターを揃え、一応店らしく整えたあと、市民が持ち込んだ不用品を展示販売するリサイクルショップとして活用するから、その運営をかりや消費者生活学校に任せたい、という話の内容だった。
 やれるかどうか不安が先行した。参考にするために隣町にあるリサイクルショップの見学に出かけた。そこでリサイクルショップの運営について説明を受け、この見学でメンバーが抱いていた不安は薄らいだ。帰路、これならどうにか私たちにもできるのではという自信が湧いてきた。みんなで話し合い、資源の再利用・ゴミ減量になるのだからと、引き受けることになった。そのために会則のなかに「資源の再利用・ゴミ減量の推進に関する事業を行う」ことを加えた。
 半年間の準備を経たあと、平成11年10月1日にリサイクルショップはオープンした。パソコン操作に長けた若いメンバーをリーダーに、火曜日から日曜日までの要員のローテーションを決めて、毎日2名のメンバーが店員を務める。出た人には日当が支払われる。月曜日が定休日で、勤務時間は午前10時から午後4時まで。仕事は出品の受け付け、パソコンへの入力、展示、販売、売れ残り品の引き上げ、返品、精算などの作業がある。最初は慣れないパソコン操作に苦労したが徐々に慣れた。
 しかし、現金を扱うために気が抜けない。品物の紛失にも気を使う。現金は自宅に持ち帰る。最近は両替にも手数料が掛かり、現金を管理する会計係は大変だが、それでも「商売はおもしろいですよ」と会計を担当するメンバーから元気な声が帰ってくる。
 店内に「あげます・譲ります」「買います・ください」のコーナーがある。掲示板には品名や連絡先を書いたメモ用紙が貼られている。大きいものは展示できないからこのコーナーで扱っている。毎月2、3件成立している。
 昨年、新学期を控えた3月に学生服のリサイクルコーナーを特別に設けたところ好評で、今年も設ける。こうしたリサイクルショップの情報は地元のタウン紙で紹介してもらっている。


市民と「かりや米を食べる会」を作る

 以上のリサイクルショップはいわば行政との協働事業だが、この他にも他団体と連携した取り組みがある。地元の営農組合との米づくりもその一つである。
 市の南部に水田地帯がある。このことをもっと市民にPRしようと、かりや消費者生活学校のメンバーを中心に市民約30名で「かりや米を食べる会」を8年前に作った。以来、毎年かりや米を食べる会の会員が集まり、営農組合の指導のもとに実際に稲を作っている。品種はコシヒカリ。組合が立てた生産計画に従って、田植えから草取り、収穫まで作業する。収穫した新米は自家用にする他、その中から20キロばかり養護老人ホームにプレゼントしている。
 市の北部に残る果樹農園の柿のオーナーにもなっている。毎年秋にはみんなで収穫に出かけ、秋の味覚を楽しむ。柿狩りは生活学校の恒例行事にしている。生活学校の運営にこうした楽しい行事を年間事業の中に取り入れている。
 生活学校のメンバーは100名を超え、少しずつではあるが増えてはいる。しかし、若い人が少ないのが悩みの種。新しい人は口コミで入ってくる。自ずと声をかけるのは同年輩の人になるから若い人が増えない。そろそろリサイクルショップも若い人たちにバトンタッチしたいし、生活学校のホームページも作りたいから若いメンバーを増やしたいとメンバーたちは言う。