子どものための地域活動 シリーズ2
子どもの『空間』づくり −子どもの居場所を求めて−
活動事例
活動事例<1>「りんご並木」を作った中学生たち 長野県飯田市 飯田東中学校
 長野県飯田市の中心地にある「りんご並木」は、地元の飯田東中学校の生徒たちが代々植樹し、手入れをしてきました。ところが市街地の活性化のため「りんご並木再整備」に取り組むことになりました。そこで「りんご並木まちづくりフォーラム」が東中学校や多くの市民団体、行政が参加して発足しました。

 同中学校の生徒たちは、3回のワークショップを開催し、独自の構想をまとめ、さらに、中学校の文化祭でも意見を求めました。こうして中学生の構想案は、まとまりました。第4回から第6回までのワークショップは、大人が作った構想案と中学生の構想案が競い合われました。

 大人は中学生の創造的な提案に刺激され、中学生は、大人の現実的な提案に学び、結果的には、中学生の構想がかなり生かされて歩行者優先の「りんごにやさしい道づくり」まとめられ1999年に新しいりんご並木が完成したのです。

活動事例<2>子どもの夢を育む童話の里 大分県玖珠町 わらべサークル協議会
 大分県の玖珠町の「わらべサークル協議会」は、子どもたちに夢と勇気と冒険心をふくらませる「童話の里」づくりをすすめています。

 同協議会は、地域にある「つのむれやま」を自然や歴史、童話が遊びながら体験できる「おとぎの山」に整備しました。通行手形を持ったファミリーたちは、「雀のお宿」「竹うま関所」「城跡」「民話の広場」など10ヵ所の関所を励まし合い、汗を流して巡ります。毎年開催されるイベントや登山道の整備には、多くの中・高校生も参加します。また、開設された「童話の家」では、読書や創作劇、紙芝居、音楽会などが行われ、大人と子どもたちの遊び場とふれあいの場になっています。

 5月の子どもの日には、毎年「童話祭」が開催され全国から約3万人参加するまでに発展しました。童話の里づくりは、まちの生活基盤の整備と共に、「地域の教育力」を回復する運動を進めています。

活動事例<3>遊び場点検 岡山県岡山市 東岡山生活学校
 公園で遊ぶ子どもたちの姿が見られなくなったが、なぜだろう岡山市の東岡山生活学校は、地域にある20ヵ所の遊び場を調査しました。

 調査項目は<1>遊具などの設置状況<2>遊んでいる子どもの学年と人数<3>遊び場の見取り図と広さ<4>遊び場の概観<5>問題点<6>改善点などです。

 その結果、<1>公園が遠い<2>狭い<3>すぐ前が大きな道路で危険だ<4>外から見えにくい<5>ネットやフェンスが破れていて危険<6>雑草がかなり生えているなどの問題点が上げられました。メンバーは、調査で出された問題点を整理し、行政との対話集会を持ちました。現在は少しづつ改善されていますが、単に公園があればいい、遊具が揃っていればよいというのではなく、子どもたちが安全で安心して遊べる空間づくりを目指して活動を続けています。

活動事例<4>地域の交流の場となった小学校 千葉県習志野市 秋津コミュニティ
 千葉県習志野市の秋津小学校は、子どもと大人の「遊び場」「居場所」となっています。

 1995年に35のサークルで誕生した「秋津小学校コミュニティルーム」(CR)では、4つの空き教室を自主管理し、子どもと大人が1年中、朝9時から夜9時まで多彩な活動を展開しています。たとえば、コーラス、陶芸、工作、パソコン、英会話、サッカー、野球、学童保育などです。

 毎年、地域と学校が協働して、秋津っ子まつりや大運動会、音楽会なども開催しています。11のクラブ活動には、約50人の住民が参加して楽しんでいます。高齢者との手紙交換やお風呂に入っての交流、学校お話し会、「苗」の栽培と販売も進めています。みんなで作った「飼育小屋」「ビオトープ」「畑」「井戸」もあり、学校はまるで遊びや学びの「玉手箱」のようです。

活動事例<5>幼児も楽しめる公園づくり 新潟県 巻町チビッコサークル生活学校
 新潟県の巻町チビッコサークル生活学校は、メンバーが20代から30代のお母さんたちです。はじめは子育ての悩みを解消するために活動していましたが、家に閉じこもらないためにも「外遊びが楽しめる公園づくり」に取り組みました。

 早速、公園に関するアンケートを取ってみました。その結果、公園で遊ぶ子どもはほとんどいないことが分かりました。その原因には、「幼児用の遊具がない」「ガラス片や犬のフンがある」「遊具が壊れている」など、公園の安全性や衛生面に関するものが多くありました。

 そこでメンバーは、巻町が管理する7ヵ所と地域が管理している神社3ヵ所の公園を選び、安全性・清潔さ・機能性の3つの側面からチェックしてみることにしました。

 調査は、公園の地図を手にして、子どもを連れてのきめこまかなものでした。その結果、安全面ではやはり遊具やベンチが壊れいる公園、ビンの破片が落ちている公園がありました。清潔さの点検では町の中心部にある公園ほど、ごみが多く、犬や猫のフンがありました。機能面では、公園の多くの遊具が小学生を対象にしており、用事には使いづらいことも分かりました。また、水飲み場や手洗い場の整備、日陰がほしいなどの要望もありました。

 そして、調査結果を地図にまとめて、行政と改善策について話し合いました。その結果、壊れたブランコやベンチが修繕され、さびた遊具も新しいペンキで塗り替えられました。水道や日陰の設置は、公園の利用頻度に応じて予算を組んで行きたいとの回答を得たのです。メンバーたちは「みんなの公園」にしようと清掃活動を始めました。その後、行政からは、同校に大型公園の計画に対する意見を求められ、遊具の種類や管理等の改善などを要請しています。