「ふるさとづくり2004」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
学校を子どものふるさとに |
和歌山県和歌山市 和歌山市立有功東小学校 |
ふるさとづくり 学校の「ふるさとづくり」とは聞き慣れない言葉かもしれない。子どもたちの痛ましい事件が続いている。心の教育の重要性が叫ばれている。また、一方で子どもの基礎基本が叫ばれている。 けれども、そのような事件や出来事が起こるたびに見直すということの重要性以上に、学校をふるさとにするという発想が大事ではないか。「学校をふるさとに」という発想は、子どもの居場所づくりということでもある。そのような視点に立って、学校のふるさとづくりの概要を述べる。 学校のふるさとづくりの内容 (1)動物の飼育 学校内には多くの動物を飼育している。校舎外の飼育園(カウチャアルームと呼ぶ)には亀、ウサギ、チャボ、カモ、アヒルなどの動物を数年来飼育し、子どもたちが飼育係として活動している。校舎内の廊下にはモルモットやセキセイインコなどを飼っている。休憩時間(ふれあいタイム)には、子どもたちがモルモットを抱いてふれあっている。 海の魚「鯛」を2年あまり飼育している。ザリガニやかわむつなど千手川の生き物を飼育している。 (2)「しろ」お散歩隊 有功東小学校はさながら動物園のように校内、校外に多くの動物を飼育しているが、その中でも、犬の「しろ」は子どもたちの人気の一つである。5年前から飼っているが、そのお世話については希望者を募り、「しろ」お散歩隊を組織している。現在、しろのお散歩隊のメンバーは3年生17人、4年生8人、5年生13人、6年生2人の計40人で構成されている。えさ等については配慮がいるため、散歩させることを中心の活動にしている。この「しろ」のことが、今年5月5日こどもの日に、NHK総合テレビとBS2で放映された。学校の犬として、子どもたちにも保護者にも、地域の人にも慕われている。各家庭にはペットが飼われているが、学校も大きな1家庭の役割を果たしている。 (3)ヤギ牧場のヤギ隊とポニー隊 7年前よりトカラヤギ4頭と、昨年よりポニー1頭を飼っている。ヤギは「ヤギ隊」と呼ばれる子どもたちがお世話している。また、ポニーは全校児童から名称を募って「ラッキー」という名前をつけて、ポニー隊がお世話している。主に昼休みを利用してお世話している。 校外にお寺の広場をお借りして、ポニーやヤギを飼育している。地域の方々が見学やえさやりに小さな子どもとやってくる。地域の人気のスポットになっている。あるお母さんなどは「この子(幼い子ども)が家で泣くとき、ヤギの泣き方でメーメーと泣くのですよ」と話していた。 (4)千手川プロジェクト 3年生の時に学習した近くの川「千手川」について調査したり、ゴミ拾いをしたり、ポスターづくりなどをして、ふるさとの川をきれいにしようと努力している。昨年、4年生の時、千手川プロジェクトを発足させた。今、5年生となった子どもたちが中心となって親を誘い、生き物の専門家や国土交通省の方などの講師に来ていただいたり、千手川を昔のように美しく自然のある川に戻そうと活動している。 (5)子ども同士のふれあい教室の開設 @地域ふれあい教室 国の「地域子ども教室推進事業」として、和歌山市では「有功東小学校ふれあい教室」を2004年6月1日より開設し、モデル校となった。家に帰っても家には誰もいない家庭の児童について、学校で学年を超えてみんなで仲良く学習をするふれあい教室を開設した。多くの子どもたちがその教室に集まり、学年を超えて話し合ったり、声を掛け合ったり、運動したりして様々な活動をしている。指導員は子どもたちの保護者と大学生が当たっている。この教室が一つの子どもたちのふるさととしての居場所になればよいと願っている。 A土曜子どもセンター 有功東小学校区子どもセンターは毎週土曜日の午前中に様々な活動をしている。 英語、将棋、ピンポン、童話の読み聞かせ、ペタンク、手話、水墨画など毎週土曜日の午前中に、子どもたちが好きな教室に参加している。ここにも子どもたちの活動のふるさとがあると思う。 B子ども土曜スクール 和歌山市の事業により「学力向上プログラム推進事業」のモデル校として、2004年4月より毎週土曜日に算数や国語の基礎的な学習をしている。中学年や高学年は算数の復習を中心に学習している。低学年は読み聞かせなどをして、すべての学習の基礎としての読む、聞くという活動で集中力を磨いている。土曜子どもセンターの活動の一つとして子どもたちは参加している。ここにも授業以外の学習のふるさとがあると言えるだろう。 (6)その他 @5年生が地域の田を借りて米づくりをしている。米のほかに古代米も生産している。JAや地域の保護者のサポートを受けて活動を続けている。 A地域の畑を借りて、地域の人のお世話や指導を受けながら、畑づくりをしている。子どもたちの総合的な学習の時間の活動である。 B長寿会との交流。 C育友会の方々が中心となってする古紙回収。 D育友会の方々が中心となってする子ども夏祭。 このような活動の一つ一つが子どものふるさとづくりに貢献していると言えるだろう。 *ポニーの「ラッキー」は5月25日、肺炎のため死亡。次の言葉を牧場に掲示した。 「いつも動物たちを可愛がって頂いてありがとうございます。5月25日、ラッキーは病気のため亡くなってしまいました。今までお世話頂きありがとうございました。」 牧場を訪れる地域の方々のために必要な言葉であった。 |