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令和2年度あしたのまち・くらしづくり活動賞発表
 独自の発想により全国各地で活発に展開されている地域づくり・くらしづくり・ひとづくりの活動に取り組んでいる地域活動団体等を表彰する、令和2年度あしたのまち・くらしづくり活動賞(主催・公益財団法人あしたの日本を創る協会、NHK、読売新聞東京本社など)の各賞が以下の通り決定しました。

■内閣総理大臣賞
高知県日高村 特定非営利活動法人日高わのわ会

■内閣官房長官賞
広島県三次市 特定非営利活動法人ほしはら山のがっこう

■総務大臣賞
北海道剣淵町 株式会社けんぶちVIVAマルシェ

■主催者賞
山形県酒田市 日向コミュニティ振興会
東京都練馬区 ねりパパ
神奈川県横浜市神奈川区 まち×学生プロジェクト
福井県南越前町 特定非営利活動法人今庄旅籠塾
愛知県名古屋市中村区 特定非営利活動法人全国こども福祉センター

また、振興奨励賞には20団体が選ばれました。団体名はページの下部をご覧ください。
今年度の応募総数は220編でした。
内閣総理大臣賞
その人がその人らしく暮らせる村づくり
高知県日高村 特定非営利活動法人日高わのわ会
【活動内容】
 「年をとっても障がいをもってもその人らしく暮らせる日高村」をミッションに「出来る人が、出来る時間に、出来ることを」仕事として続けていける場を提供している。常勤雇用16名パート10名大学生アルバイト10名が喫茶部・福祉部・販売部・総務部・児童福祉部に分かれそれぞれの部に関係がある地域の困りごとを解決する仕事を作っている。部門合計23事業以上の仕事を、個人のライフスタイルに合わせてシフトを組みどんな事情があっても働ける仕組みを作っている。

 平成17年、子育て支援センターに集まるお母さんたちが、地域で何か役に立つことをと、「日高村住民有償ボランティアグループわのわ」を結成。子育て支援センター、高齢者のデイサービス、障がい者の居場所事業等の受託事業からはじまり、誰もが年齢や障がいに関係なく、役割を持ち社会参加できる仕組みを作るために住民活動として今も成長をしている。わのわとは、「人の輪」「話の話」「平和の和」が繋がり大きな輪となることを願った団体名。

 各部門での活動は…
★喫茶部(喫茶2店舗運営・高齢者の配食サービス・地域企業に宅配弁当)
★福祉部(障害者就労支援B型と移行型・障害者のグループホーム・障害児の日中一時・指定相談事業)
★販売部(トマトを使った加工品の製造販売・イベント出店)
★総務部(集会所や村の駅清掃作業・日高村物流支援事業・軽度生活支援事業・家事手伝い・農作業請負事業・軽作業)
★児童福祉部(託児ルーム・障害児のお預かり・日下小学校とのはたけクラブ・高知大学生との地域おこし活動)など

 10人から始まった団体も、今ではNPO法人化し、運営に直接携わる者も50人まで増えた。サービス利用者は、約200人と、村民の約4%に当たる住民が利用していることになる。それに伴い取組内容は多岐に渡り、村から、物流支援事業や「eat&stayとまとと」の指定管理などを受託したり、子供の居場所作りや介護保険外のホームヘルプサービス、農家支援や村内事業者の人手不足解消と障がい者の働く場の提供の他、大学と連携して学生団体の受け入れや商品開発も行っている。住民を巻き込んだ取組として、「日高メシふぇすてぃばる」も開催し今年で7年目となる。

 日高村の特産フルーツトマトを使ったトマトソースを平成18年から作っている。これはトマト農家への農作業支援の際に、規格外として廃棄されるトマトがもったいなく、直営する喫茶でトマトパスタを提供したところ「ソースが欲しい」との要望に応えたもの。加工品を作るために高知大学フードビジネスクリエーターに通い、商品化し、今では年間7tのトマトを加工し、東北から九州まで販売できるほどになった。
 5年前から始まった日高オムライス街道で、使用するための専用トマトピューレを開発し、全店舗10店舗が使用してのオムライス街道が誕生。4年間で経済効果4億円となり影の立役者として活用している。

【評価された点】
 従来就労できていなかった方たちが集い、1人1人が役割をもち活躍できる場、社会との接点を再び持つことのできる場を作り上げている。飲食、宿泊、農産品販売、生活支援、子育て支援と多岐にわたる活動から実践している。
内閣官房長官賞
ふるさとを未来につなぐ農山村体験交流
広島県三次市 特定非営利活動法人ほしはら山のがっこう
【活動内容】
 2003年山間の小学校が廃校となった。校舎の利活用を検討するために若い世代も交えた対話の中で「ないからこそあるもの」に気付く。その気づきから、今失われつつある「ふるさと」を未来につなぐ体験交流がスタートした。ふるさとはいつしか、訪れる人々にとってもかけがえのない場所となり、あの日の若者は今は子連れで、赤ちゃんは学生スタッフとして来続けている。そして17年間、地域運動会や校舎環境整備、祭りなどの地域行事を、地域住民と交流者が一緒になって続けている。

○ないからこそあるもの
広島県北部の山間の町。86世帯173人高齢化率56%。2003年に上田小学校が廃校となり、2006年に最後の商店が閉じ、デマンドバスも移動販売車も休止、年々生活機能が衰退していた。
 2002年、上田小学校跡地活用プロジェクト委員会が結成された。町内会役員は、会議を重ねた末、「若者の声を聞こう」と公募委員を募集。「校舎を地域のシンボルとして残し、都市農村交流施設として活用する」案が検討材料にあがった。提案の具体化に向け、地元学「あるものさがし」を参考に、交流イベントの資源を探ることとなった。「泳げるような川はないが、川の赤ちゃん(源流)の一滴がある」「上水道はないが、おいしい山水・井戸水がある」「店はないが、自給的な暮らしがある」、『ないからこそあるもの』があるではないか!
 当団体名にある「ほしはら」とは、旧小学校の校歌に出てくる言葉で、満天の星が見える原っぱのこと。ないからこそあるものの象徴として、団体名に取り入れた。こうして都市農村交流の場として新たな扉を開くこととなった。

○みんなでつなぐふるさと〜地域住民、体験スタッフ、そして参加(交流)者。
 地域住民は、実際の暮らしそのものを体験として教える。自然体験系の諸団体の指導者研修を受けた地域内外のスタッフは、専門職として企画コーディネートを担い、地域住民や参加者との交流を楽しみ、やりがいと生きがいを得る。高校生から社会人までのボランティアスタッフは、体験サポートをしながら、地域体験の楽しさとスタッフとしてのやりがいや仲間を得る。参加(交流)者は、思いっきり地域を感じて遊び楽しむ。それが地域に元気を届ける。
 廃校後17年間、地域住民と交流者が一緒に続けてきた地域運動会もすっかり定着した。名物競技の「縄ない競争」や「リム転がし」は笑い声いっぱい。校舎環境整備や夏祭りなども同様に、ここをふるさとと思っているみんなで継続している。

○地域全体が活動フィールド
 「キャンプインキャンプ」は、長期キャンプのベース地から班ごとに一泊二日間地域に飛び出していく冒険。ルールは、@24時間施設に帰れない/A大人は手伝えない/B地域の方と交渉して野営場所を決めたりトイレを借りたり火を焚いたりする/Cテント泊してもいいし野宿してもいい/D持ち物も過ごし方も班で考える。子どもたちはドキドキしながら地域の方と交渉をする。「マッチが濡れたので貸してほしい」「釣った魚を焼くので塩を分けてほしい」などだ。地域全体で参加者をわが町の子のように見守る。このキャンプもまた17年目。当時参加者だった子どもたちがスタッフになって帰ってきている姿を見て、継続の喜びを感じている。

【評価された点】
 生活機能の縮小が続く地域の廃校となった木造校舎を中心に「ないからこそあるもの」に気づくという逆転の発想で、都市農村交流のための活動が行われており、先駆性が認められる。
総務大臣賞
「ものづくり」「人づくり」「地域づくり」
北海道剣淵町 株式会社けんぶちVIVAマルシェ
【活動内容】
 株式会社けんぶちVIVAマルシェは、農協青年部の生産者が立ち上げたプロジェクトチーム「軽トラマルシェ」が母体となっている。軽トラマルシェとは、自分たちで作った米や野菜を軽トラックに積み込んで消費者に直接販売しようという活動のこと。地元の仲間や近所の住民から、「地場産の野菜が買える店が少ない」「剣淵町にこれはといえる名産品、特産品が無く、何か地域の特産品を作れないのか」などといった声が多く、農業を基幹産業とする町でありながら生産現場と地元の消費者との距離がとても遠いことを知り、軽トラマルシェを始める。人口3000人程の小さな町である剣淵町の存在を知らない人が道内でも多く、その魅力の発信にも力を入れている。
 現在では各地から声がかかり、計画を大幅に上回る年間十数回各地で軽トラマルシェを出店し、今では計150回を超えている。道内だけでなく、東京・大阪・広島にも出店している。マルシェに参加した生産者は、消費者との対面販売を通して、自分で作った野菜が売れる喜びや面白みを感じると同時に、消費者へ調理法や食べ方を伝え、野菜ソムリエの資格を取得するなどし、農産物の魅力を発信するだけではなく地域の魅力も同時発信している。
 販売品目は、トマト50品種、馬鈴薯50品種、南瓜20品種など34品目400品種(野菜以外の品目を含む)。これを一か所の生産者団体で生産する事例は珍しく、同じ野菜であっても品種が違うだけで作型や栽培管理の方法が異なってくるため、手間やコストが増える多品種栽培は生産者に敬遠されている。だが、それを逆手にVIVAマルシェはビジネスチャンスを見出し、多品種少量生産の野菜づくりによって品種の数なら日本一の生産者を目指している。
 生産者の多くはサラリーマンなどを経て実家に就農したUターン組で、20代〜40代の若い農業者が中心である。生産のノウハウを身につける学びの場となっている若者も多く、実家では、親の指導の意図をくみ取りきれず反発心や感情的な対立が生まれたり、親側も作業の手順や意味を手取り足取り教えたりすることが少ないというが、VIVAマルシェは、互いに世代が近く、同じような経験を重ねた者同士であることから、初歩的なことでも気軽に相談できる雰囲気と、仲間からの指導や意見を素直に聞き入れるようにしている。
 平成29年には法人化し観光事業を立ち上げ、都市部からの消費者へ農業の魅力を発信。そして食育教育へも積極的に行い、小・中・高・大学と幅広い教育活動も行っている。近年では、町の新たな特産品の開発を行い、国内市場ではまだほとんど流通のされていない『キヌア』の機械化にも成功し、今後販売する予定。地域にある福祉施設(障碍者支援施設)とも連携し、加工品の開発など地域雇用だけでなく、地域に根差した経済効果も上げている。
 モノ(野菜)づくり、人づくり、地域づくりをモットーに、魅力的な農産物づくりだけではなく、それを伝える人づくり、地域活性化の仕組みづくりと幅広い活動を行い、農業だからできたことを最大限生かし、発信している。

【評価された点】
 地域の基幹産業である農業を若者の力で活性化し、担い手を呼び込み、助け合いながら活動を更に拡げている。地域のくらしの基盤である生業づくりを実現している。
主催者賞
つながりの支え合いから花開く日向
山形県酒田市 日向コミュニティ振興会
【活動内容】
活動のきっかけ
 山形県酒田市日向地区は 過疎化・高齢化が進む条件不利地域である。日向コミュニティ振興会(以下コミ振)は、地区内の12の集落(自治会)に暮らす住民の共同体(地域運営組織)で、平成21年4月に、行政の一組織である公民館から、住民自治組織であるコミ振に衣替えする形で誕生した。同時期に閉校になった日向小学校にコミュニティセンター(以下コミセン)に拠点を移し、地域づくりに踏み出すこととなった。

1.地域支え合いワークショップ(行政、大学、事業者等とのご縁)
 酒田市や酒田市社会福祉協議会、公益大と連携して、「地域ではどんなことができるのか」をテーマにワークショップを行い、そこで浮かび上がった課題の解決や地域資源の活用を目指して「地域づくり」に取り組んでいくことになった。
【取り組みの成果】
・住民同士の対話により地域課題や資源に気づき、コミ振の事業に関わる人が増えた。また、行政や大学、社会福祉協議会等とのつながりが生まれ、協働の下地ができた。

2.地域支え合い除雪と労力交換(ボランティア、克雪専門家、他地域等とのご縁)
 ワークショップで生まれた大きな活動は、「除雪ボランティア」活動である。他地域の住民によるボランティア活動であり、この活動により他地区とのつながりが生まれ除雪サポートや空き家のサポートという協力体制(労力交換という仕組み)が出来上がった。
【取り組みの成果】
・豪雪地帯の大変な暮らしに気づき、地域支え合いの象徴的な活動となった。

3.外から来る人もウエルカム(地域おこし協力隊、大学生とのご縁)
 日向地区は、酒田市で初めて地域おこし協力隊を受け入れたが、今では日向地区にとって欠かすことのできない存在となっている。
【取り組みの成果】
・卒業した協力隊員は、日向応援団の一人として、今でも地域の催しに参加している。

4.日向里かふぇ(大企業とのご縁)
 良品計画が空間デザインの監修を、酒田市が資材(資金)提供を、そして地域住民と日向応援団の皆さんが壁や家具類のDIYをそれぞれ担った三者協働の好事例となった。

5.これからに向けて
 当時「将来の夢」であったものも多い。多様な人とのご縁が、地域づくりにつながったことは事実だが、そのご縁を引き寄せたのは、間違いなく主体的に頑張る日向地区の皆さんの姿勢・行動である。いつも笑顔で前向きな日向地区の皆さんの人柄・雰囲気がそうさせた。

【評価された点】
 除雪ボランティアをきっかけに、同じ環境に置かれている地域とのつながり、助け合いの関係など交流が生まれ、大手企業の協力を得るまでに発展した。他の地域との縁が生まれたことをきっかけに、活気を取り戻しており、地域連携の好事例といえる。
主催者賞
パパたちの力で練馬を日本一の子育て地域に
東京都練馬区 ねりパパ
【活動内容】
ねりパパの発足
 2010年に練馬区内の子育て支援ボランティア団体の総会に参加したのを機に、この練馬の地で父親の育児及び地域を支援する活動をしたいとの思いから、現役パパの任意団体である「練馬イクメンパパプロジェクト(通称:ねりパパ)」を結成した。

1.主な活動
@児童館等における絵本読み聞かせライブ、バルーンイベント
 父親の絵本の選択、および読み聞かせ方法が大好評.。こども祭りなどで継続的に実施中。
A練馬区等のイクメン講座
 2011年より、父親のスキルアップを促進する講座を開催(例:パパの絵本読み聞かせ講座、バルーンアート講座、家事のシェアリング講座など)。また心理カウンセラーを招き、子どものこころに関する父親向け講座を開催。
Bネリマックスプロジェクト
 子育ての最大の敵ムカンシン(無関心)帝国に立ち向かうネリマックスの誕生。ネリマックスショーは子供達にも大好評であり、近年は近郊地域のヒーローとともに活動中。
Cパパとママの準備教室
 練馬区による父親向け育児応援動画の作製に協力し、当該動画は練馬区のホームページに掲載中。なお動画の作製をもって当該活動は終了。
D自主上映会プロジェクト(後援:練馬区教育委員会等)
 地域の人々にいのちの尊さを改めて認識して頂きたいとの思いから、映画の自主上映会を実施し、400名以上が鑑賞。
E小学校高学年を対象としたキャリア教育講座
 年間12回、小学校の高学年の授業を担当し、実施。
FPTAプロジェクト
 現役PTA 役員への参画を積極的に図ることを目的として開始。これまでに10名のメンバーがPTA会長および副会長に関わる。
GねりパパKidsプロジェクト
 絵本ライブ、歌、バルーン等を児童館や地域のお祭り等で行うことにより、子ども達の地域への愛着心を育むとともに次世代との連携の強化を図っている。また年1回、パパと子供達だけのキャンプを開催

2.主な成果
@ 結成から10年経過。ねりパパメンバーは、総勢100名を越え、父親をつなげている。
A 練馬区内の児童館等施設10拠点と連携し、活動しており、年間100回開催。
B 官民を越えて、外部から高く評価されている。
C 練馬区報等にも掲載され、練馬区内の全域に父親の育児支援の大切さを浸透させている。

【評価された点】
 父親の育児支援の取組に加え、子どもたちのキャリア教育やPTA活動への参画支援などの取組も行い、これからの地域活動へつながる取組となりうる。
主催者賞
まちと学生がつなぎ・つながるまちづくり
神奈川県横浜市神奈川区 まち×学生プロジェクト
【活動内容】
 横浜市神奈川区六角橋地区では、地元自治連合会と神奈川大学の学生等が「学生と地元住民が挨拶できるまち・卒業しても戻り住み続けたいと思うまち」を共に創りたいとの思いから平成27年に本プロジェクトを発足した。毎月の定例会を基盤に、交流イベントや認知症啓発活動など規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で住民自身も大きな影響を受ける中、関係が育まれてきたからこそ「困っている学生を支援したい」とまち側が奮起し、学生の食支援「まちSHOKU」が誕生。学生と手を取り合い“お互いさま”で育むまちづくり活動が今も展開されている。

●2019年度活動実績
 毎月定例会12回、神大マルシェ(学生4年間通う神奈川区の人・物・歴史に知るマルシェ)、六神祭(自治会町内会・小学生・大学生の世代間交流イベント)、お年寄りにやさしい街六角橋〜オレンジプロジェクト〜(まち全体で取組む認知症啓発活動)、地域を繋ぐ〜キャンドルナイト2019〜(3000本の牛乳パックで作る参加型キャンドルナイト)、ホームカミングデー(卒業しても年に1度六角橋に帰って来られる機会を創るイベント)、社会人への門出式(まち主催の卒業式、それを境にまち側の一員となる)

●新型コロナウイルスの影響下、「困っている学生を助けたい」まち“SHOKU”誕生!
 新型コロナウイルス感染症の影響で、定例会や恒例企画も中止。そんな中、メディアなどでも「収入減少・アルバイト減による学生の生活困窮」が取り上げられ、実際に今まで付き合ってきた学生の中からも「お米だけで一週間過ごしている…」「授業はオンラインになり、誰とも“生”で話をしない日が続いていて寂しい」など学生からの声が聞こえた。その声を聞いた地元自治会は「普段から付き合いのある学生が困っている。明日の食べるものに心配するような学生が身近にいる。今すぐ動かないといけない」と立ち上がり、全3回(約480名)の食支援を実施した。
 2・3回目には商店街と食で困る学生をつなぎ双方向に支援をしようと「まちSHOKU応援券(600円)」を提案。寄付金による500円を原資に商店街が100円を上乗せ、さらに各店舗がお店ごとの独自のサービスをさらに上乗せする形で1200円相当の「学生の為のスぺシャル応援券」が完成し、多くの学生の手に渡った。
 その後、開催された学生と地域のオンライン交流会では、「実際にボランティアに参加するなど、是非自分も力になりたいと思います」」「人と関わる機会が減っているので、少しでも誰かと話せる機会があるだけで嬉しいです」との感謝の気持ちがまちの皆さまへ返され、このような御時世においても、まちと学生のつながりは着実に実を結んでいる。

【評価された点】
 学生を地域の人材として捉え直し、地域と学生が企画段階からまちづくりに携わる活動を通じてできたつながりが、コロナ禍における困窮学生に対する食事提供に結実するなど、共助の基盤にまで発展している。
主催者賞
次代の担い手と共につくる今庄宿の賑わい
福井県南越前町 特定非営利活動法人今庄旅籠塾
【活動内容】
1.今庄宿が直面する課題と活動概要=まちなみ消滅の危機とその解決
 伝統的町家が立ち並ぶ北國街道今庄宿は「宿場のまち」「鉄道のまち」として栄えたが、近年の人口減少や空き家増加で歴史的景観が崩れつつある中、江戸後期築の旧旅籠若狭屋が取り壊されることになった。今庄宿のシンボルを解体から救うことがきっかけで活動が始まり、歴史的町並み保存に留まらず、文化の継承、住民生活の支援にまで及んで今日に至っている。
 本法人独自の、建築やデザインを学ぶ学生と共に行う改修(「町家改修と宿泊体験」教育支援事業)は、まちづくりへの若者の参加を促し、次代を担う人材の育成につながっている。江戸期の旅籠を多目的文化施設に、昭和期の住宅をカフェに、明治期の弁当屋を資料館、物品販売所に改修・活用する活動は町行政に影響を与えると同時に、住民によるまちづくりの先導役にもなっている。

2.どのような活動なのか=歴史的町並み保存を通した豊かな暮らしを支援
 私たちの活動は、歴史的町並み保存を通した豊かな暮らしの支援である。解体予定の町家の持ち主に対し修復・維持を勧め、場合によっては持ち主に代わり建物の改修を行う。価値観や課題の共有が不可欠との発想で、改修作業は学生と共に行い、活動を担う人材育成や伝統的建築技術の継承を支え、また、起業者と共に利活用も行う。
 活動構成は、@町家修復と教育支援、A町家活用と起業者支援、B文化・芸術活動、C調査・研究業務等で成り、地域や行政への協力も行う。(1)旧旅籠若狭屋は多目的文化施設とそば屋に生まれ変わって宿場の賑わいを呼び戻し、(2)昭和初期の一般住宅山田家は、安らぎのカフェになり、(3)江戸から明治まで旅館と駅弁屋であった大黒屋は、地元農産品販売店および資料館に改修したことで、町並み景観を維持すると同時に住民の豊かな生活支援に寄与している。

3.活動の広がりと深まり=地域交流の場ができ、住民の意識が変った
 多様に活用される町家が地域交流の場として定着し、それによる賑わいを目の当たりにした住民に、町家利活用の考えが芽生え、町並み保存に対する意識が変わった。
 このような活動は行政にも影響を与え、町並み景観の保全と賑わいを目的に「今庄宿プロジェクト事業(平成26〜29年)」が実施され、「今庄宿まちづくり推進協議会(平成30年〜)」が組織されるなど、本取組みは地域に広がりつつある。

4.活動から学んだ事=先人が積み重ねた知恵と地域資源は活動の道標
 町並み調査や町家改修の際に発見された先人の知恵や工夫の跡を貴重な道標として、私たちは活動の方向を探っている。旧大黒屋は、宿場期、旅籠に始まり、明治鉄道期には弁当屋として今庄宿の歴史と共に歩んだ一級品であり、大隈重信や泉鏡花、山本周五郎などの滞在記録も残る。また、住民に親しまれた建物であることから、今庄宿全商店廃業後の「買い物難民」のための野菜や日用品販売店への改修を進めた。さらに、住民が集う展示館併設を構想している。

5.町並みの保存=人の魅力を見つけて磨く力
 今庄様式建築を担った大工集団の頭、島ア文四郎の記録集「越前今庄宿棟梁大工の記録・年代録見聞記」、「今庄郷棟梁大工島ア文四郎家文書」等を刊行し、今庄宿の魅力の根拠を整備してきた。幾多の先人の足跡に気づき理解できる私たちの力量、またそれを讃える豊かな心が町の魅力を磨くことに必要と考える。町並み保存活動は、人をまず第一に考え、住民そして次代の担い手一人ひとりを大切するところから始めなければならないのかもしれない。

【評価された点】
 歴史的建造物の解体計画から、まちぐるみでその保存と利活用を実行し、さらに面的に取り組むことで個性ある地域がハード面で維持されただけでなく、若者を含む住民の集い・活動の核となり、次世代へのつなぎの場としての機能も果たしている。
主催者賞
子どもたちと 新しい福祉・優しいまちを創る
愛知県名古屋市中村区 特定非営利活動法人全国こども福祉センター
【活動内容】
 公的支援や援助機関から遠ざかる、適切な支援につながらない子ども・若者が一定数存在している。かれらが抱える問題は、不登校や家出、虐待、ひきこもり、貧困、障害などで定義されるものだけではない。複雑で多岐にわたっている。
 児童福祉や社会的養護という制度やサービス(枠組み)に子どもたち側が適応をしていく仕組みの限界について、子どもたちが考え、実践できる環境を用意。専門職や大人が問題を解決するのではなく、子どもたち本人が課題や目標を見つけ、自身で追求できる場を提供するため、全国こども福祉センターは設立。毎週土曜日17 時から20 時の間、名古屋市内の繁華街(支部活動は別の場所で実施)やSNS 上に出向き、設立当初からフィールドワーク(現地調査)と、子どもたちを対象としたアウトリーチ活動を続けている。
 このような活動の背景には、子どもを取りまく問題の解決方法には、子どもがいちばん知っているのかもしれないので、「直接聞いてみよう!」という考えがある。繁華街での声かけや居場所づくりは、子どもの「救済」や「帰宅を促すこと」が目的ではなく、一緒に考え、協力しながら自分たちで変えていこうという目的がある。問題を決めつけず、今なにが起きているのか、何が必要なのか、について、自分の目で見、感じること、理解することから始めている。声をかけるのは同世代の子ども・若者。声かけを通して出会った子ども・若者から、「何か役にたちたい」「協力したい!」という声があがり、一緒に活動を開始。直接声をかけられた子どもたちが仲間に加わることで、この活動は支えられてきたという経緯がある。活動当初は「危険だから子どもにやらせる活動ではない」「子どもたちを利用しているのではないか」と、周囲から批判を浴びたが、子どもたちの意志を尊重し、続けることを決めた。特徴は、「きぐるみ」での声かけ活動。きぐるみを着用することで、@一般的に注目を集める仮装やコスプレよりも露出部分を少なくすることができる(匿名性)、A「街頭パトロール活動」や権威的なイメージを払拭すること、B注意・指導する側、される側の分断を防ぐ役割がある。
 全国こども福祉センターは、活動開始から10 年、法人化してから8年。これまで14,287 名(〜2020 年3 月まで)の子ども・若者が活動に参加している。同法人は東京支部、東三河支部、知多支部など、参加した子どもが立ちあげたグループが複数あり、また、各地で自助グループを立ち上げている。ここでは、地域も学校も、年齢も問題意識も異なるメンバーが一堂に集っている。特定課題の解決を目的とする活動ではないため、子ども・若者みずからが募金活動や寄付を呼びかけるなどして、活動を継続している。声かけや活動グループの運営は簡単ではなく、また、若い男女が出入りすることのリスクや、人間関係のトラブルもある。加えて、通行人や地域住民との摩擦や緊張が生じることも。だが、こうした苦い経験や人間関係の失敗を通して、学ぶことがある。そして、若者側から積極的に行動し、地域住民に働きかけることで、いまよりも【やさしいまち】に。そして、【あたらしい福祉をつくる】ことができると信じ、活動を続けている

【評価された点】
 声掛け役の子どもや若者が、かつて声をかけられた側の子どもたち。そうした人たちが共に考えながら、自主性や無理のない支援を優先した取り組みは、主宰団体が掲げる「あたらしい福祉」にふさわしい。
振興奨励賞
北海道苫小牧市 特定非営利活動法人寺子屋こどもの未来  子ども食堂を通じたマチづくり
茨城県常総市 認可地縁団体古間木自治会  認可地縁団体を設立し、村の共有地を自治会名義に法人登記
栃木県大田原市 世代間交流喫茶「いってみっけ」  地域社会でお互いに支え合う世代間交流活動
埼玉県吉川市 吉川市自治連合会  地域課題を地域で解決するための勉強会
埼玉県鶴ヶ島市 わかば風の会  自分たちで作った地域福祉計画を地域で実践
千葉県柏市 柏市地域協働を考える会  町会や自治会のお悩み相談承ります!
福井県鯖江市 福井県立鯖江高等学校JRC部  ふるさとから世界へ―人道・奉仕―
山梨県甲府市 七覚自治会  住みよい環境を守り育て 次の世代に引き継ぐ
岐阜県関市 特定非営利活動法人せき・まちづくりNPOぶうめらん
  ・若者が関に戻り、住み続けられるまちへ ・小・中・高校生の郷土愛醸成
静岡県浜松市中区 NPO法人サステナブルネット  当事者によるひとり親・子どもの貧困支援
静岡県静岡市清水区 特定非営利活動法人清流の里両河内  住民による住民のための移動手段を立ち上げ
京都府長岡京市 特定非営利活動法人京おとくに・街おこしネットワーク  京都おとくに地域の情報発信と魅力ある街づくり
京都府京都市山科区 安朱学区自治会連合会  自治会から広がる、地域一体となったまちづくり
大阪府枚方市 NPO法人ひらかた環境ネットワーク会議  環境先進都市枚方を目指して!
兵庫県神戸市西区 神戸市職員有志  塾に通えない中学生等の無料学習支援
兵庫県神戸市東灘区 東灘こどもカフェ  多世代交流の居場所を中心に、なんでも活動
高知県室戸市 むろと廃校水族館  廃校を利活用したミニ水族館の運営
大分県豊後大野市 NPO法人しげまさ子ども食堂―げんき広場―  子どもを中心に地域を考え、地域を変える
鹿児島県鹿屋市 鹿屋市川東町女子会  町内会活動の活性化と竹山資源の有効活用
沖縄県本部町 健堅行政区&合同会社健堅  自治会と企業が協同したまちづくり