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令和4年度あしたのまち・くらしづくり活動賞発表
 独自の発想により全国各地で活発に展開されている地域づくり・くらしづくり・ひとづくりの活動に取り組んでいる地域活動団体等を表彰する、令和4年度あしたのまち・くらしづくり活動賞(主催・公益財団法人あしたの日本を創る協会、NHK、読売新聞東京本社など)の各賞が以下の通り決定しました。

■内閣総理大臣賞
京都府南丹市 天引区の活性化と未来を考える会

■内閣官房長官賞
宮城県石巻市 網地島ふるさと楽好

■総務大臣賞
山形県川西町 特定非営利活動法人きらりよしじまネットワーク

■主催者賞
石川県金沢市 NPO法人みんなの畑の会
愛知県新城市 鞍掛山麓千枚田保存会
大阪府門真市 KADOMA中学生勉強会
山口県周南市 「鹿野の風」プロジェクト
香川県小豆島町 一般社団法人小豆島子ども・若者支援機構

■振興奨励賞
北海道岩見沢市 みる・とーぶプロジェクト実行委員会
北海道釧路市 釧路昭和中央6丁目町内会
宮城県大崎市 特定非営利活動法人エコパル化女沼
宮城県仙台市若林区 仙台荒町子まもりプロジェクト実行委員会
茨城県日立市 赤羽緑地を守る会
栃木県大田原市 一般社団法人えんがお
群馬県前橋市 特定非営利活動法人Mam’s Style
埼玉県白岡市 白岡2山行政区会 山の公園企画運営部会
千葉県我孫子市 手賀沼まんだら
千葉県多古町 タコ足ケアシステム
静岡県袋井市 浅羽・笠原まちづくり協議会生活支援ネットワーク
滋賀県彦根市 Hot Hot〜ほどほど〜
滋賀県草津市 びわ湖エコアイディア倶楽部
京都府京田辺市 さんさん山城
兵庫県西脇市 西小おやじの会
兵庫県川西市 東久代むつみ産直市場運営委員会
岡山県津山市 認定特定非営利活動法人オリーブの家
徳島県牟岐町 特定非営利活動法人牟岐キャリアサポート
愛媛県松山市 松山防災リーダー育成センター
熊本県熊本市東区 健軍リバイタライズプロジェクト

今年度の応募総数は206編でした。
内閣総理大臣賞
京都・丹波の山里60戸の挑戦―みんなで取り組んだ地域の活性化―
京都府南丹市 天引区の活性化と未来を考える会
【活動内容】
 「天引は、変わった」、「むら」の古老がしみじみと語った。それは「むら」の活性化に、みんなで取り組んだ10年間を振り返り、思わず口をついて出た言葉だった。

 10年前天引は、人口減、少子高齢化、山林田畑が荒廃し、住民のつながりは薄れ、無力感や自信の喪失が広がっていた。加えて、古い村型社会が、地域を変えていこうとする主体を生み出す上で大きな障害になっていた。
 転機が訪れたのは、2012年4月だった。半年の議論を経て、「天引区の活性化と未来を考える会」(全住民参加組織)を立ち上げ、新しい取り組みを実行に移した。以下に紹介する。
●「むら」に残るものだけで頑張ると、仕事が増え、しんどくなる。そこで、「むら」出身者で「天引応援団」を作った。
●どんな天引を目指すのか、アンケートやワークショップで出された意見をイラスト版「天引活性化マップ」にまとめた。
●お宝をまとめた「天引再発見マップ」、天引の良さを集めた写真集「あまびき」、「お宝」選りすぐり写真集「天引10撰」を作り、説明板も設置した。
●「楽しい」「美味しい」「喋れる」「ほっとできる」を大切に多彩なイベントに取り組む。@10tトラックの荷台をステージにコンサート、その後のホタル観賞をセットにした「ほたるコンサート」、A納涼祭を兼ねた「松明」、B故郷にみんなが帰ってくる秋の「運動会・大懇親会」、C新年の「とんど」。Dそんな中、「むら」の居酒屋『一品会』も誕生した。
●2015年、地元の物産を販売する「天引むくむく市」を立ち上げた。米や野菜、炭、シイタケの原木、工夫を凝らした加工食品等を出品。有志が自主的運営する6軒の屋台も並ぶ。買い物客が寛ぎ、リピーターも増えた。地元のおばあちゃんたちの絶好のしゃべり場ともなっている。
●高齢者世帯が増える中で、便利屋さんとお買い物デイが大好評。@便利屋さんは、「家の周りの草を刈ってほしい」「壊れた雨どいを直してほしい」、など30分ワンコインで駆けつける。Aお買い物デイは、専用車で月1回、町のスーパーへお買い物に出掛ける。
●さらには、@集落内の水路の生き物調査で発見した国の特別天然記念物オオサンショウウオなどの保護活動。A破損した水路の石積技術の継承。B終戦直後に作られた「天引音頭」の継承。Cかつて地域の重要産業だった炭焼きの復活と技術の継承。等々。
●移住者を迎える取り組みとして、毎月、空き家や移住者の情報交換会議も開いている。ここ数年で2組が移住、企業が宿を1軒オープンした。
●毎月、「あまびき元気ニュース」を各家庭に届ける。10年続け、100号を超えた。

 活性化に取り組んだ10年間の挑戦をまとめると…
@会議のルールとして、「むら」の年長者や有力者の意向を忖度しない、自由な発言を保障した。
A女性が「むら」の意思決定の場で活躍している。事務局員6名中3名、「むくむく市」の責任者、「ニュース」の編集長も女性。
B天引応援団は「よそ者」とされた人たちに門戸を開いた。
C「ニュース」の発行は、情報の風通しが悪かった「むら」にさわやかな風を吹かせました。

【評価された点】
 古い村型社会が、地域を変えていこうとする主体を生み出すうえで大きな障害であるとの厳しい認識に立ち、全住民参加で熟議を重ね地域課題の解決から地域の魅力発信、地域内外の交流へと広げ、誰にでも開かれた地域活性化に成功している。
内閣官房長官賞
島のお年寄りの温かな愛に包まれる心のふるさと
宮城県石巻市 網地島ふるさと楽好
【活動内容】
 宮城県の網地島にある網地浜は、約70人の高齢者ばかりが住む限界集落で、子どもは1人もいない集落。虐待され、辛い思いをしてきた子ども達のために、「網地島ふるさと楽好」をお返しのない恩送りとして開校し、16年間で635名の子ども達を無料で受け入れてきた。
小さい頃から高校生になるまで何度も島を訪れ、島のお年寄りの温かな愛に包まれることで、自分を大切に思い(自己肯定感)、思いやりの心が育まれている。東日本大震災の大津波で被災した時には、島のお年寄りから心を学んだ子ども達から100通の手紙(恩返しのエール)が届けられた。

楽好のきっかけは、当時の行政区長・桶谷敦さんの言葉。「限界集落で子どもがいない寂しさを自分達はこんなにも感じているのに、島の外に目を向けると、虐待などで命を落とす子どもがいる。虐待された子に大切にされ、愛される記憶を一つでもプレゼントしてあげたい」。桶谷さんは仙台市内の児童養護施設に足を運び、2006年に子ども達を受け入れる「網地島ふるさと楽好」が始まった。この名称には「網地島を心の拠り所にして幸せになってほしい」「網地島で好きなことを思い切り楽しんでほしい」との願いが込められている。
 仙台市内の4つの児童養護施設の子が招待され2泊3日の特別な時間を過ごす。先生は漁師歴60年のおじいさん。厳しい教えも素直に聞き入れ岩の下に潜む魚と真剣勝負。釣った魚は浜焼きにして子ども達に御馳走する。島の食事は慣れない手つきで下ごしらえから料理し、家族のように楽しく会話しながら食べる。
 これまで635名の子を招待した。費用のすべてを工面し、足りないところは島の方々からいただいた物で賄い16年間続けてきた。一年がかりで準備する。
 別れの日、普段は素直に気持ちを言えない子も、自分から「ありがと、楽しかった」「ごはんおいしかった」と心のこもった言葉を伝える。島のお年寄りは涙が止まらなくなる。出航ではお互いに見えなくなるまで手を振り続ける。子ども達は涙が止まらなくなり、いつまでも泣き続ける。素直な涙が子ども達の心を育んでいる。島から戻ると、子ども達は文集を作り島のお年寄りに贈る。
 2011年の東日本大震災。津波により島は瓦礫に埋もれた。そんな中、島に子ども達から百通を超える手紙が届いた。桶谷さん達は「来年の夏、島に子ども達を迎えたい」と奮起。大量の瓦礫を片付け翌年にはすべて撤去。子ども達がケガをしないように、小さな破片を丹念に拾い、裸足で入れる海を取り戻した。
 2015年に桶谷楽好長が急逝された時、子ども達が遠く仙台から通夜に駆けつけた。桶谷さんは島で思いやりの心を学んだ沢山の子ども達に見送られた。10年かけて、誰にでも誇れる心優しい子ども達が沢山育っている。

【評価された点】
 16年間で635名もの子供たちを、地域をあげて受け入れるには、住民相互の熟議と理解を深め合う努力が欠かせない。本事業は子どものケアを本気で行う中で高齢者の生きがい創造へとつなぐなど斬新性がある。また、深刻な地域課題について、新たな縁を創り豊かな地域づくりを実施している。困難を抱える子どもの体験の場を創出していることで先駆性と、発展性に期待できる。
総務大臣賞
住民主体で創る創生と共生の地域づくり
山形県川西町 特定非営利活動法人きらりよしじまネットワーク
【活動内容】
 2004年、小学校区内の地縁で組織される各団体を統合し新たな組織の構築を住民に提案した。
 設立までに3年の準備期間を設け2007年に全世帯加入のNPO法人を設立。住民ワークショップで地域ニーズを把握し、わがこと化、まるごと化を図り、5か年の地区計画を徹底したPDCAで実践。地域の若者層(30人)をNPOの事務局として組織に体系化するとともに、課題解決の技術やツール活用等を学ばせ、将来の担い手育成を計画的に実践している。21の自治会活動を補完するプラットフォームとして機能させている。
マネジメント:事業規模は約6,000万円〜7,000万円。国や県、町からの委託金などと住民からの会費や寄付をもとに運営。国や県、町からの委託金(補助金等含む)が収入の約8割を占める。住民から寄せられた寄付金は基金運営委員会で管理し、各自治公民会単位のコミュニティ活動の推進に活用。地域企業のCSR活動の取り組みを地域コミュニティが提案。ボーリング場や温泉旅館の閑散時間帯を活用した住民のレクリエーション活動や建設会社の資材や重機を利用した住民イベントの開催など、企業から提供される余剰労力を地域への寄付として金額換算し、CSR活動として評価している。
資金づくり:6次産業化を推進するため加工研究所を設置し、住民がそれぞれに商品開発に取り組む。女性の起業支援としてお弁当・惣菜加工所の事業化を支援。都市部と農村部の農都交流で交流ビジネスを展開。農業青年で構成されたグループ「農道百笑一揆」が高齢者の所得向上ビジネスの運営や商品開発を担う。
合意形成のシステム:「決めない会議」と「決める会議」の2層の仕組みを構築。「決めない会議」では住民WSにおいて地域の意見や要望、課題を集約する。集約された意見や課題は事務局および各部門で検討され、事業化の可否と事業化の企画・立案がなされる。「決める会議」ではその事業化の精査や予算の配分・執行を最終的に決定。決定事項は各部会で事業化され、一年経過後に事前の評価基準によって活動を評価。評価結果は全住民に開示。
地域福祉:地区内の幼稚園、小・中学校と連携体制を構築し、学校支援活動や地域福祉の学習提供など学校教育に積極的に関与。幼少期からの地域活動を促進し、青少年の健全育成を図る。生活支援アプリやAIスピーカーを活用した高齢者の生活支援にも取り組む。食を通じて人がつながる子ども食堂を兼ねた地域食堂「まんま屋」を経営。
人づくりスキーム:人材発掘は各自治公民館の館長が行い、地区の有望な若者をきらりに推薦。推薦された若者を教育部会の専門部に所属させ、OJT・OFFJTを実施。事務局スタッフとしてはコーチングとファシリテーション、マネジャーとしてはマネジメントとマーケティングの技術を習得。若者は事務局の運営や住民WS、住民ニーズの事業化プロセスなどで学びと実践を繰り返し、地域コーディネーターとして活躍が可能。地域コーディネーターには6つの力が必要(コミュニケーション、ファシリテーション、企画力、PR力、ネットワーク、組織経営力)。人材育成は若者に限らず、地域外の住民や女性など様々な人材を対象とし多面的に行い、住民が相互補完できる関係を目指す。
行政との関係:行政との対等な関係を構築。「協働」に対して行政内部で認識の違いがあるなどの課題があったため、行政が地域の協働提案を受け入れる体制を整備するために積極的に関与し創発型の協働を推進している。

【評価された点】
 学区全世帯が活動の趣旨を理解し、計画的・独創的な活動を、世代間リレーを通じて展開。住民相互、住民と行政の協働を構築、住民の生きがいを創出している。全世帯参加のNPOというところがユニーク。それによって「わが事化」が自然にできている。また会議のシステムや様々な連携、人材育成なども緻密に設計されていて、持続性も十分にある。
主催者賞
土地は地権者のモノ、環境は将来の子供たちのモノ
石川県金沢市 NPO法人みんなの畑の会
【活動内容】
 高齢化と後継者不足で耕作放棄の休耕地と放置竹林をボランティア活動で整備。市民農園【みんなの畑】の運営と、里山を整備して地域住民に限らずみんなが安全安心に憩える場所【みんなの森】作りを進めている。また、放置竹林の整備で鳥獣害対策のため緩衝帯を造り、石川県立大学、金沢工業大学、民間企業と連携して鳥獣害対策ロボットの協働研究も進めている。市民農園に隣接して住民のための委託販売所を開設し、幼児から高齢者まで交流できる機会と場所を作っている。

 同会は、50年前から急激に宅地化された住宅専用区域の休耕地を活用して、2017年3月に市民農園「みんなの畑」15区画を開園。現在は四十万校区6ケ所で地権者10名の休耕地を活用しており、保育園、PTA,小学校、企業、団体等が住民交流の場として菜園ライフを楽しんでいる。
 昨年開設した中央園では、四十万小学校【みんなの田んぼ】としてPTAと地域の協力で、田植えから収穫までの食育の場が始まった。四十万小学校3年生の課外授業「タケノコ堀り体験」「竹切り体験」や大学のポケットゼミ等のお手伝いもしている。
 南四十万園では豊富な地下水を利用して、県立大学自然科学科、県環境自然課の指導を頂き、ビオトープ作りを進めている。子どもたちが故郷の環境変化を体験できる場所にする。
 金沢市環境局との協働事業で段ボールコンポストの講習会を開催し、堆肥として回収し、市民農園で利用し市のごみ削減の対策事業として生ごみ対策の研究も進めている。
 市民農園「みんなの畑」隣接した農機具小屋をボランティアで改装し、委託販売所【みんなのお店】を3年前に開設した。毎週土日午前中に開催するお店では、市民農園利用者に限らず、周辺の農薬不使用で栽培された野菜や果物、花、苗、趣味で作られたクラフト製品などを持ち寄られ、販売ボランティアと地域の皆さんとの交流の場所となっている。将来は道の駅に替わる【街の駅みんなのお店】としての活用を目指している。
地域の地権者のほとんどが後背地の里山の持主でもあり、【孟宗竹】の増殖で竹林も荒廃している。そこで、竹林の整備伐採、散策路作りなどを開始し、金沢市森林再生課などとの協働事業として採択され、多くのボランティアの参加で整備した場所に記念植樹(桜、紅葉)をした。整備された杉林では、キノコホダ木のオーナー制度で現在、シイタケ用900本ナメコ用370本を共同管理している。
 どなたでも憩える場【みんなの森】を整備中で、ツリーハウスや遊具等、可能の限り【竹】を利用して造成中。
 鳥獣害対策では、竹林整備で出来た“緩衝帯”で、金沢工業大学ロボテクス学科、県立大学、国際高専、民間企業(株)シコウと鳥獣害対策研究グループで、対策ロボットの研究も進めている。
 整備伐採した竹を焼却廃棄処分するだけでなく、SDGsの観点からも【竹】は資源として有効に活用することを目的に、雪、風に耐え簡単、安価に製作できる農業用ハウスとして【竹ドーム】を考案。雪国では農業用ハウスの倒壊で多大な損害を受けていることから、豪雪や強風にも耐え腐りにくい構造を考案。全国から反響が大きく、製作マニュアル費用をクラウドファンデングで募集し作成し、全国に向けた普及活動に努めている。

【評価された点】
 耕作放棄地、放置竹林など荒廃した里山に、市民農園や地場産品販売所、散策路などを整備し、周辺の住民や小学生、企業などを呼び込んで、里山をみんなで守っていく取り組みは全国のモデルになる。
主催者賞
四谷の千枚田を地域の宝とした「むらづくり」 〜継続は力なり〜
愛知県新城市 鞍掛山麓千枚田保存会
【活動内容】
 「四谷の千枚田」を地域の宝とし、地域活性化に取り組んでいる。棚田の保全活動の他、稲作体験学習、企業と協働しての環境保全活動、「お田植感謝の夕べ」等のイベント実施、基調講演などを行い、豊かな自然を基盤としてのむらづくりに邁進している。
@棚田の保全活動
 かつては1296枚あった棚田が、平成初期には370枚にまで減少したことにより棚田の保存活動を開始。作業道の整備、水車や東屋等の施設整備、観光名所案内看板・ベンチの設置など。
A体験学習
 新城市立鳳来寺小学校・豊橋調理製菓専門学校・JA愛知東農協「こども農学校」等を受け入れ、稲作を通した農業体験学習を実施。その他、自然観察会等の学習会を実施している。
B企業を巻き込んだ活動
 横浜ゴム新城工場とのボランティア活動を16年間継続して実施。平成24年からは四谷の千枚田全域を調査地点として生物多様性調査、平成26年からはビオトープ2か所を造成、本年は特定外来植物の駆除作戦など環境保全活動に貢献している。
 丸八製菓に備蓄米を出荷し、その古米を地域特産品「千枚田五平餅」として、道の駅や郵便局の宅配品として販売している。また、同社の協力を得て平成29年度からは「四谷の千枚田絵画コンクール」を夏休みに小中学生を対象に実施。また同社とチームTAKOの協力で千枚田にリアル案山子を設置し来訪者に癒しを提供している。
Cコミュニティ
 毎年、6月第1土曜日には「お田植感謝の夕べ」と銘打って千枚田の農道沿いに1.500本のロウソクを灯し、花火を打ち上げる。田植えの労をねぎらい、懇親を深めることを目的とした催しである。12月の第2日曜日には収穫感謝祭を実施。つきたての餅や害獣のイノシシを捕獲した「しし汁」などを振る舞う。コンサートも開催され催しを盛り上げる。
Dその他
 令和元年度には中部環境先進5市サミットや、農業農村整備地方セミナーで講演。その他、季刊誌『農村振興』への寄稿や、新城市立鳳来寺山自然科学博物館において特別展「四谷の千枚田展」を開催。その他、毎月発行している「四谷の千枚田だより」は19年に及ぶ歴史を持ち、今年9月には228号が発行された。

【評価された点】
 子どもたちや地元企業とともに活動を展開したことで、持続的な取り組みになっている点は高く評価できる。地域の宝を守り続ける見本のような活動である。
主催者賞
どんな環境に生まれても学べる「居場所」を
大阪府門真市 KADOMA中学生勉強会
【活動内容】
 全16大学38名の大学生とともに、経済的理由等で塾に通えないなど様々な課題を抱えている門真市内の中学生30名を対象に居場所・学習支援事業を実施。毎週水曜日および隔週土曜日に活動を実施。毎回20名以上の大学生ボランティアが参加し、ほぼマンツーマンでの学習指導を行っている。
 また通常の学習支援活動以外にも、クリスマス会や大学見学、音楽鑑賞、卒所式などの行事も実施し、「居場所」的視点も重視している。
企画から運営まで全て大学生主導で行われているのが大きな特徴であり、団体を立ち上げてからの4年間で約2500名の生徒に学習機会を提供してきた。

<活動の目的・意義>
 活動にはこれら3つの柱を掲げている。
〇ロールモデル像の提供(門真市は市内に大学がなく、地域に大学へ進学している人も少ない。生徒たちが多様な価値観や選択肢と出会える場を創ろう)
〇第3の居場所提供(大学見学やクリスマス会、遠足などのイベント行事を通して、生徒たちがホッとできる場所を創ろう)
〇学習の場提供(大学生から教えてもらい、「どうせ無理」と思っている生徒たちが「やればできる」ということに気づける場を創ろう)

<活動の継続性>
 運営メンバーは学年の偏りがないように配置し、学生による主体的な運営力を継承できるようにしている。また、各大学のボランティアセンターと毎年度連携して新規ボランティアを確保。将来像としては、卒所生が大学生になって運営を担っていくビジョンを描いている。
 当団体は行政からの資金援助は受けておらず、クラウドファンディングや各種助成金により活動資金を確保している。支援の安定化と波及力の向上のため、公式HPやSNSを毎週更新、月1回「通信」を発行するなど、活動の見える化を図っている。
 こうした取り組みは門真市の行政や団体・市民から評価されており、地元自治体や教育委員会、中学校などの協力を得て取り組みを進めている。

<成果>
 学習面での変化としては、令和3年度は、参加した中学生の約75%が「成績が上がった」と回答。また、中3生全員(17名)が希望する公立高校に合格することができた。
 学習面以外の変化では、「社会貢献への気持ち」や「将来の夢」について活動当初・中期・終盤で調査をしたところ、活動を重ねるにつれて、割合が大きく増えた。

【評価された点】
 家庭の経済状態などによる教育格差が問題になっている中、大学生たちが子どもたちの無限の可能性を信じ、学力向上のみならず、将来への夢を抱いてもらえるように日々努力をし、大きな成果を挙げている点が評価できる。また、それを大学生自身のネットワークで実現している点も評価できる。
主催者賞
人口減少を救う日本一カフェの里への挑戦
山口県周南市 「鹿野の風」プロジェクト
【活動内容】
 鹿野は県境で山深く、コンビニも無く不便で高齢化や人口減少により、ピーク時9000人の人口が現在2800人を割り…、10年後は2000人を切ると言われ深刻さが増している。並みの地域振興では衰退は止められない、しかしこのピンチは地域を一つにし、希望に変えられる重要な分岐点でもあると、2011年に「鹿野の風」プロジェクトを結成した。限られた資源を活かし田舎の弱みを強みに変える「木漏れ日計画」をスタート。
 広島や福岡に車で1時間余り、都会で暮らす人々は癒しや非日常を求めさ迷う人も多く、その受皿として高速道路を活かし「いってみたい、関わってみたい、住んでみたい」そんな鹿野でしか出来ない町づくり(観光振興)を進め、最終的に「日本一のカフェの里」を目指す。
 都会目線での魅力づくり…、身近な資源で新たな価値を生出す取り組み…、他との差別化…、統一感…、持続可能な町づくり…、つまり「木漏れ日計画」の名の元に、町全体を雑木と花の力を借り、資源の徹底的な磨き込みを行い、周辺地域に埋もれる事なく、一年を通じて人・物・金・情報が循環し続ける仕組みを作る事、それが「日本一のカフェの里」実現だ。
活動-1・雑木植栽による木漏れ日計画(2013年〜):雑木(コナラ)には人を引寄せ心を豊かにする力がある、その力を借り雑木を街中に植え素敵な木漏れ日の街作りを進める。コナラ等を8年で30ケ所89本植栽。
活動-2・オープンガーデンによる交流人口増計画(2020年春〜):花の力を借りオープンガーデン開催、広島や福岡等都市部の非日常を求める層に地域の魅力を発信し交流人口増を狙う。
活動-3・木漏れ日ベンチ100脚の設置計画(2020年春〜):ベンチは人をつなぎ和ます力がある、この力を借り花や木漏れ日の場所に設置し、里山のイメージアップや統一感・発信力に努める。
活動-4・日本一のcafeの里計画(持続可能な観光振興)(2022年〜):地域価値を高め交流人口が増えれば、cafe等が起業し易い環境が向上、新規店舗増の推進強化を目指す。現在7店舗のcafeが営業、今後cafeの多いオンリーワン里山を目指す。

 里山オープンガーデンとは、山野草と雑木をテーマにしたオープンガーデン。山間部にも関わらず20以上もの庭やガーデンを一般開放し、回を重ねる度に反響は大きく、県内外から多くの人々が見学に来る。しかもオープンガーデンを核にした多目的な連携を行い、その相乗効果も大きく活動の輪が拡がり、可能性も年々広がる。
連携-1・山野草のエキ:オープン期間中のメイン会場として開催。期間中1万人の来園者を迎え、鹿野の交流人口を増やす救世主。
連携-2・鹿野米ブランド化(鹿野高原米生産組合):来園者に750袋の試食品(2合)をプレゼントし、まずは美味しいお米を食べて頂く。
連携-3・野外コンサート・新たな文化と継承:オープン期間に5ケ所で野外コンサート開催。
連携-4・隠れ家マルシェ(ASISアズイズ):来期からオープンガーデン同時月1回開催、町外からも沢山の参加者と来園者で賑わう。
連携-6・参加型ガーデンによる新しいコミュニティの場作り:荒れかけた地に皆が自由に参加するワクワク花のガーデンと夢の森作りを進め新コミュニティの場作りを推進。

【評価された点】
 人口減、高齢化で失われつつある山間部の里山にコナラを植え、花を育て、ベンチを置き、カフェを誘致して、都市部から人を呼び込み消費を促し、人、物、金、情報を循環させるしくみを作る試みはユニークで持続可能な振興策である。
主催者賞
子ども・若者真ん中の持続可能な地域作り
香川県小豆島町 一般社団法人小豆島子ども・若者支援機構
【活動内容】
 子どもの貧困問題や虐待防止のために、第三の居場所づくりを進める。小豆島に二つの拠点(「くさかべんち」・「ポコ・ア・ポコ」)を構え、運営。
 当団体は、小豆島で唯一、こども食堂を運営する組織である。「子供が一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」として始まったこども食堂は、今では老若男女を問わず誰でも来ることができる地域の繋がりの場となった。地元の方々から寄付された食材を使い、子供から大人まで幅広い世代に食事を提供している。
 コロナ禍となってからは子ども宅食に力を入れている。2020年の春ごろから子育て世帯を中心にお弁当や物品の配達を開始。週に3回、約100食ほど島内に配食し、継続的な支援に力を入れている。
 その他、保護者のための茶話会、学習支援、ICTリテラシーのための学びの場、ワンストップ相談(子ども・若者に関するなんでも相談)、シェルターの運営など、活動は多岐に渡る。子ども時代にできるだけ楽しい思い出ができるようにと、夏のキャンプやお花見バーベキューなど様々なイベントも開催。
 また、島内には身体に不自由を抱える方や移動手段を持たない世帯など、居場所に参加したくてもできない方もいる。そうした方に「当たり前の地域生活」を送ってもらうため、居宅介護に移動支援、送迎サポートを行っている。
 活動回数を重ねるにつれて協力者が増え、現在では、県・町福祉課、県・町社協、小中学校及び高校、警察署、児童相談所、病院等多数の組織の他、多くの地域住民とともに活動している。
 大人も子どもも一緒に成長する場づくり、そして誰もが排除されない持続可能な地域環境の構築を大きな目標として掲げ、取り組みを続けている。

【評価された点】
 子どもの貧困や虐待など重大な今日的社会問題に地域をあげて取り組み、多くの子どもたちに活動をつないでいる。包摂社会づくりのモデル的手法である。
振興奨励賞
北海道岩見沢市 みる・とーぶプロジェクト実行委員会   地域のつくり手によるアート活動
 移住者たちによって立ち上げられた地域PR団体で、地域のつくり手による展覧会を毎年開催してきた。市の要請を受け、2021年より閉校になった中学校の試験活用を開始し、市民や大学生たちと共に校舎をアートにより整備。校舎全体を使っての展覧会やワークショップなどを開催している。
北海道釧路市 釧路昭和中央6丁目町内会  新型コロナウイルスに立ち向かう町内会活動
 町内会活動のデジタル化を進め、回覧板を減らし、公式LINEにて情報発信、会費のコンビニ払い化、オンライン会議にて公園の整備計画協議などの取り組みを実施。町内会運営には子どもたちの意見を取り入れ、地域ぐるみで未来のリーダーを育成している。
宮城県大崎市 特定非営利活動法人エコパル化女沼  ぼくらは里地里山探検隊
 ラムサール条約登録湿地に指定された化女沼の環境保護を行う。また、自然の中で遊ぶ機会が少なくなった子どもたちのために、毎月「里地里山探検隊」を開催。外来魚捕獲体験の他、山菜取りやホタルの観察会、渡り鳥観察など、四季を感じられる活動を実施している。
宮城県仙台市若林区 仙台荒町子まもりプロジェクト実行委員会  仙台荒町子まもりプロジェクト
 小中学校・大学や社協、企業等合わせて16団体によって構成され、「ながら見守り365日へ」をテーマに活動を実施。警備会社や警察署協力の元、商店街店舗や親子向けの防犯教室、下校時の見守り活動、小学校や銀行での防犯訓練、子どもたちが困ったときに駆け込めるように商店街店舗との顔の見える関係性づくりを行う「子まもりハロウィン」、防災標語やポスターコンクールなどを実施。
茨城県日立市 赤羽緑地を守る会  地域を元気にする魅力ある緑地公園づくり
 市と協働で盆地を整備し、「赤羽緑地」(自然観察ふれあい公園)を開設。以後、公園の保全活動を行う傍ら、野鳥観察会・ザリガニ釣り・昆虫採集等を恒例行事として毎年実施。また、地域の小学生に校外学習の一環として、記念植樹・種まき・球根根付けなどの作業を体験してもらい、自然保護の大切さを伝えている。
栃木県大田原市 一般社団法人えんがお  ごちゃまぜ地域づくりによる高齢者の孤立防止
 学生と共に高齢者宅を訪問し、生活支援サービスを実施。中学生から大学生まで、年間1000人以上が活動に参加している。また、空き家6軒を活用し、地域サロン・障がい者向けグループホーム・地域食堂・フリースクール・学生向けシェアハウスなどを隣接した形で運営。各現場では高齢者が掃除や料理などそれぞれの役割を持ち、「地域のプレイヤー」として活躍。
群馬県前橋市 特定非営利活動法人Mam’s Style  母親の居場所(地域コミュニティ)から実現する4つの幸福
 母親の自立をミッションとし、「子育てと仕事楽しむママの家」を開設。子ども服の「お下がり」に注目し、古着再利用を通して親子の居場所づくりや困窮家庭の支援を行う。
埼玉県白岡市 白岡2山行政区会 山の公園企画運営部会  2つの手作りの公園誕生で生まれる住民の輪
 雑木林や梨畑跡地を借り受け、地域住民による手作りの公園を開設。夏祭り等のイベントやラジオ体操、屋外サークル活動等が実施され、地域住民の集いの場となっている。また、防災訓練が実施されるなど災害時の一時避難場所としての役割も持つ。
千葉県我孫子市 手賀沼まんだら  野に出よう、人に会おう 遊びが流域をつなぐ
 子育て世代の母親たちが中心となり、「子どもも大人も本気で手賀沼の自然を遊び倒す」コミュニティとしてスタートした。循環型農業や冬水たんぼなどを実践する他、里山の竹を利用しての遊び場づくりや、生き物の採集・観察、雑木林でのキャンプなど外遊びの企画を次々と実施。また、コロナ禍での孤立の問題に対処するため、親と子どもたちのコミュニティプレイス「ごちゃにわ」を創出。子どもたちはもちろんのこと、一人暮らしの高齢者など様々な人が顔を出すようになり、地域の居場所としての役割を果たしている。
千葉県多古町 タコ足ケアシステム  ゆるく楽しくまちを元気に!
 福祉施設と地域住民が協働して立ち上げた地域ネットワーク。地域の困りごとを結び付けて解決している。活動例としては、地域交流スペースを利用しての駄菓子屋営業、福祉施設と町内の神社やお寺、商店が協働してのイベント「歩け歩け大会」の実施、災害時に地域交流スペースをボランティアセンターとして機能させ、物品搬送の実施など。
静岡県袋井市 浅羽・笠原まちづくり協議会生活支援ネットワーク
  住民互助による困りごとの解消から地域をつなぐまちづくり
 草取り・ゴミ出しなど、生活の「ちょっとした困りごと」を解消する家事支援を行い、「住み慣れた地域で暮らし続けられるまちづくり」を目指している。今年度からは実証実験として、自家用車でのドア・ツー・ドアの外出支援を行っている。
滋賀県彦根市 Hot Hot〜ほどほど〜  “リユースと食”で地域で見守る子育て支援
 リユースと食で見守る子育て支援。行政や学校、地域施設などと連携し、地域でつながる子育て支援に取り組んでいる。リユース事業では、ベビー・キッズ用品や制服・体操服の譲渡会イベントを開催。子育て世帯の交流スペースや育児相談会も設けている。食の観点からは、お弁当無料配布、親子食堂等の活動を実施。
滋賀県草津市 びわ湖エコアイディア倶楽部  琵琶湖の環境・伝統文化を次世代につなぐ活動
 琵琶湖の水質保全と生態系維持を目的に、パナソニックアプライアンス社の社員有志が設立した環境保全団体。環境保全部会と、「エコアイディアキッズびわ湖」を運営する子どもエコ部会により構成されている。環境保全部会では、ヨシ狩り、びわ湖の一斉清掃、水環境の全国一斉調査などの活動を実施。こどもエコクラブでは子どもたちの体験活動を重視し、月に1回程度活動。伝統漁法や食文化の体験、田植え、生き物観察会、水の循環についての学習などを行っている。
京都府京田辺市 さんさん山城  ろう者が地域活性化の原動力!
 当団体は通所者の8割がろう者である就労B型事業所であり、通所者は地域活性化の原動力として活躍している。担い手不足が深刻化した碾茶や野菜を栽培する他、穫れたて野菜を使ったワンコインランチを市民に提供。また、企業や料理店と連携し、児童養護施設の子供達を対象に食育・交流イベントを定期的に開催している。
兵庫県西脇市 西小おやじの会  西脇小学校という文化遺産における子どもの体験機会と大人の成長機会の獲得
 国の重要文化財に指定された築80年の木造校舎を擁する西脇小学校を舞台として、西脇小学校の児童を中心に、肝試しや雑巾かけイベントなど子どもたちの思い出に残る活動を行っている。西脇小の卒業生や保護者も、運営側として楽しみながら参加している。
兵庫県川西市 東久代むつみ産直市場運営委員会  であい・ふれあい・支えあい人輝く地域再生
 買い物難民対策として、「産直市場」を開設。地元生産農家や近隣製造事業所等の協力を得て地元の食品を販売。市場開催中には民生福祉委員、自治会役員等による生活・福祉相談を実施。その他、地元小学校児童による学校菜園野菜の販売、納涼祭の開催等を実施。市場に関わる人たちが輝く活動を行っている。
岡山県津山市 認定特定非営利活動法人オリーブの家  人権擁護、男女共同参画社会の推進
 貧困母子家庭への支援活動、シェルターにてDV(精神的暴力を含む)被害女性と子どもの一時保護、専門家による心のケア等の活動を行う団体である。食糧・生活用品の支援、学習支援、個人カウンセリング、交流会、セミナー開催などの活動を展開している。
徳島県牟岐町 特定非営利活動法人牟岐キャリアサポート  若者関係人口による過疎地の可能性への挑戦
 学生による教育支援活動や地域活性化への取り組みを中間支援し、若者の関係人口を創出している。支援活動例としては、中高生のキャリア教育、小中学校の総合的な学習の時間における他地域と連携した授業展開、子どもの居場所づくり事業など。
愛媛県松山市 松山防災リーダー育成センター  全世代型防災教育による人作り・地域作り
 「全世代型防災教育」を実施。防災士養成講座にて毎年500名の防災士を育成する他、地域防災士による地域防災研修、小学5年生から高校生までが参加する防災研修、防災士資格を取得した大学生が地域での防災教育にリーダーとして関わる研修、教職員や福祉施設職員、外国人へ向けての研修などを実施。防災教育を通した人材育成と地域づくりに取り組んでいる。
熊本県熊本市東区 健軍リバイタライズプロジェクト  商店街を中心とした次世代コミュニティづくり
 30代から40代の若い世代が中心となり、商店街の活性化を行う。高校生や大学生も共に活動している。マルシェなどの単発イベント開催から、次のステップとしてシェアキッチンをオープン。また、他地域にも当商店街を知ってもらうため、行政や大学の職員、地域企業と会議を兼ねた交流会を実施。婚活イベントやごみ拾いなどのイベント実施につなげた。