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30年度あしたのまち・くらしづくり活動賞発表
 独自の発想により全国各地で活発に展開されている地域づくり・くらしづくり・ひとづくりの活動に取り組んでいる地域活動団体等を表彰する、平成30年度あしたのまち・くらしづくり活動賞(主催・公益財団法人あしたの日本を創る協会、NHK、読売新聞東京本社など)の各賞が以下の通り決定しました。

■内閣総理大臣賞
東京都東久留米市 氷川台自治会

■内閣官房長官賞
大阪府大阪市天王寺区 こどもひろば

■総務大臣賞
島根県出雲市 伊野地区自治協会

■主催者賞
茨城県常総市 根新田町内会
東京都文京区 特定非営利活動法人街ing本郷
東京都大田区 気まぐれ八百屋だんだん
山梨県南アルプス市 認定特定非営利活動法人フードバンク山梨
兵庫県姫路市 ふるさとかかし親の会

また、振興奨励賞には20団体が選ばれました。今年度の応募総数は271編でした。

内閣総理大臣賞
空き家活用等の様々な取り組みによる地域活性化
東京都東久留米市 氷川台自治会
【活動内容】
 地域に増加していた空き家・空き地に対して住民全体で問題意識を持ち、持ち主から借り受けて、農園に作り替え整備した。さらに農園で育てた野菜の無人販売や、空き家の軒先を利用した直売所での販売を行ってきた。この空き家、空き地の利活用を発端として、地域住民の自治会への関心が高まり、自治会の活性化へ向けた様々な取組みが実施され、大きな成果を上げている。

1.活動の発端
 氷川台自治会は、昭和31年に東久留米市北東部に開発分譲された戸建て中心の住宅地の自治会。当時入居した子育て世代は80歳を超え、子どもたちは独立して都心に住み、高齢化率は37%を超えていた。住民の高齢化によるコミュニティの衰退とともに転居に伴う空き家・空き地が増加。災害時の被害の拡大や犯罪の温床となることが懸念され、危機感を持った自治会は、平成23年に“安全・安心で暮らしやすいまち「氷川台」、元気で明るい自治会をみんなでつくろう!”の活動方針を掲げて地域の課題解決に着手。まず、増加する空き家・空き地を地域の資源として捉え、空き家の庭を農園として利活用し、収穫した野菜の直売所やイベントにも利用。地域住民の“ふれあいの場”となり、きずなを強めるとともに、自治会活動に対する関心が高まり、住環境の改善、自治会加入率の増加、しかも若年層の会員が増え、高齢化率の減少を達成するなど多くの波及効果をもたらした。現在350世帯(1,000人強)の会員で自治会を構成(加入率95%強、高齢者率34%)。

2.活動の発展
 氷川台自治会は、自治会所有の氷川台会館を拠点に活動しているが、高齢者の見守り・資源ごみ集団回収・青空野菜市・焼き菓子販売会・サンドイッチ販売会・ふれあいサロン・子育てサロン・コミュニティバスの運行、マージャン教室・パソコン教室・うどん打ち教室・ラジオ体操の会・健康体操教室・ハイキング会・ゴルフ同好会・氷川台農園農夫の会・ジャガイモ掘り大会・サツマイモ掘り大会・餅つき大会・夕涼み会や春の防災訓練と秋の要援護者支援避難訓練など年間を通して、実に、多くの活動を展開している。これはそれぞれ自分の趣味趣向や生活リズムに合わせて参加することで顔馴染みになり“温かいふれあいのあるコミュニティ”をつくり、そこからさらに交流の輪が広がっていくことをねらいとしているもので、それぞれの活動は成果を上げ、地域の活性化に結びついている。

【評価された点】
 自治会が空き地・空き家を地域の資源として捉え、農園、直売所やイベントで利活用。その結果、住環境の改善、住民の満足度や自治会活動に対する関心が高まり、自治会加入者数及び自治会加入率が増加するなど多くの波及効果をもたらした。現在、「子育てサロン」「認知症カフェ」「コミュニティバスの運行」など多くの活性化へ向けた様々な取組みが展開され、活性化が図られている。自治会活性化の先進事例となる。
内閣官房長官賞
外国にルーツをもつ子どもたちへの包括的支援
大阪府大阪市天王寺区 こどもひろば
【活動内容】
 平成17年5月設立の「こどもひろば」は、定住外国人家庭の子どもたちが日本の学校で、日本語が分からない、文化が違うと「しんどさ」を感じていることを知り、居場所の提供を目的とした地域日本語教室。「外国にルーツをもつ」と呼ばれる子どもたち、多文化な背景をもち、日本語を母語としない同じ立場の子どもたちが集う、学校以外の居場所が大切であるとの思いから、毎週月曜日の夕刻、週1〜2回の教室を開催している。
 当時、対象は小中学生を想定したが、実際に通ってきたのは母国で中学校を終えて来日した15歳以上の子どもたちだった。どこにも受け入れられない、就労もできない彼らはほとんど日本語ゼロで現れる。日本の高校に進みたいと思ってもどうしたらいいのか、保護者にも情報はない。社会制度の狭間で、どこにも所属できない彼らを支えるのは地域の役割であろう。彼らの高校受験を支援する活動がすぐさま始まった。
 「こどもひろば」は徐々に存在が知られるようになり、小中学生の参加も増えていった。平成22年4月から(財)大阪国際交流センター(現:公益財団法人)との共催事業となった。センターが窓口になったことにより外国人家庭からのアクセスもしやすくなり、さらに学習希望者は増えていった。高校進学を希望する「ダイレクト」の子どもたちも毎年数名〜10名を超え、現れるようになった。彼らの進学支援を活動の中心に据え、教室活動をセンターと多くのボランティアに支えられ14年目となった。
 外国で育ったダイレクトたちを高校に送り出すには学習支援だけでは不十分。日本語と受験科目の学習を計画的に進め、同時に手続き(「応募資格審査」)の準備をする。保護者と書類の準備をし、必要に応じ証明書などを翻訳し、教育委員会に通訳を伴って同行する。また、どの高校を受けるか選択するために必要な情報を保護者と子どもに提供する。進路説明会や高校の体験入学などにも引率する。合格するためには受験勉強だけでなく、情報が同じくらい大切なのだ。時には厳しく、時には暖かく見守り、応援するスタッフと、同じ立場の仲間たちに出会い、2月中旬の入試までダイレクトの子どもたちは本当に努力する。模試形式で入試の受け方を知り、面接がある場合は想定質問で受け答えを練習する。資格承認が得られたら、次は志願書をスタッフと一緒に記入し、写真を貼って、高校に持っていく(出願)。入試当日の持っていくもの、時間厳守も細かく注意を繰り返す。合格発表の日も一緒に見に行き、そこでやっと「学校に行ける」と満面の笑みを見る。無償のボランティアスタッフにとって、この笑顔が最高の報酬だ。
 約100名の高校進学を支援してきた。高校進学を果たした子どもたちにはボランティア登録をしてもらい、母語で相談にのったり教科学習支援をしたり、時には通訳もしてもらう。
 大阪のどこに住んでいても同じように支援が受けられるようにと、7年前から(公財)大阪国際交流センターと共催でネットワーク構築事業も始めた。
 これまで約500名の子どもたちが教室を訪れた。ルーツは中国が最も多く、タイ、フィリピン、ネパール、台湾、韓国、米国、ブラジル、コロンビア、ペルー、イラン、パキスタン、フランス、セネガルと14か国に及ぶ。1回だけの相談もあれば、小学5年生から参加し、現在大学生ながら時々顔を出す子もいる。同窓会に家族で参加する元ダイレクトもいる。一人一人と丁寧に向き合い、よい人間関係を保ち、社会の一員として子どもの「育ち」を見守り、「なりたい自分」になれるよう支える「包括的支援」を目指している。

【評価された点】
 外国籍の子どもたちの学習・生活支援のモデルとなりうる。特に、社会で生き抜く力をつける支援として取り組んでいる高校進学支援は、高校進学を果たした生徒・学生もボランティアとして参加するなど、「循環型」の取り組みとして注目される。
総務大臣賞
まちづくり×学校×関係人口で地域の未来を拓く
島根県出雲市 伊野地区自治協会
【活動内容】
1.地域の概要
 伊野地区は人口1,300 人弱の中山間地域。10 年後には1,000 人と推計される。2012 年、出雲市から地区の伊野小学校と隣接する2つの小学校の統合案が示されたが、2年余にわたる議論の末、存続を決定。持続可能なコミュニティをめざし、自治協会・コミュニティセンタ−・学校連携による地域を挙げた取組が始まった。その特徴は「町づくりと学校をつなげた教育の魅力化」「全員参加のまちづくり」「地域外の人々との協働によるまちづくり」である。

2.主な活動内容
(1)まちづくり×学校で「子育てするなら伊野で」
@小学生参加の産地直売所「伊野いち」
 地区の農業に希望を見いだそうと、2014 年に始めた産直市「伊野いち」(年2回開催)では小学5・6年生が宣伝や販売など重要な役割を担う。当日は自分たちが栽培したサツマイモの販売に加え、お客様接待、お客様の荷物運び、商品紹介など、スタッフとして働く。
A町の幸福論を考える小学生
 伊野いちで学んだ6年生は、「町の幸福論」(著者:山崎亮)を学習し「伊野の将来デザイン」を考えて地域住民の前で具体的な取組を提案する。小学生の発表をもとに、伊野を紹介するフリーペーパー、里山を舞台にしたクイズラリーなどを実現。こうした積み重ねで、まちづくりに参画する小・中・高・大学生が増えている。
B国際ワークキャンプ
 外国人青年や日本人学生を招いて、里山整備や地域住民との交流などを行う国際ワークキャンプを2016 年から始めた。昨年は、伊野小学校の宿泊研修とのコラボが実現し、子どもたちと交流を深めた。また、ホームステイ等を通して地域住民との交流も深まっている。
(2)まちづくり×関係人口(伊野の応援団)で活動の輪を広げる
@伊野ふるさと会員(伊野のまちづくりサポーター)
 2017年から、伊野地区出身者や伊野のまちづくりに関心を寄せる人びとに1口5千円の寄付で「ふるさと会員」になってもらい、伊野のまちづくりを一緒に考えてもらうよう呼びかけたところ、1 年間で108 人から75 万円のご厚志が寄せられた。ご厚志のおかげで「町の幸福論」著者の山崎亮氏の出前授業と講演が実現。また、修学旅行経費を助成できるようになった。今年度は、会員同士や会員と住民との交流事業を実施する予定。
A伊野べーション−ワクワク・ドキドキ、伊野の自然を舞台に遊ぶ−
 島根大学教育学部の学生と地域住民が一緒に「伊野の自然を舞台に子どもの遊びを創る」をコンセプトに、森で秘密基地づくり、田んぼでどろんこ運動会、海でいかだレースなど、自然を舞台にした遊びを通して心と体を開放する活動が2013年から始まった。
3 「町の幸福論」を考えるまちづくりトーク−コミュニティの持続可能性に挑む−
 まちづくりと「町の幸福論」を考えてもらおうと、2017年に「10年後の伊野を考える」動画を作成。この動画をすべての集落で上映し、10 年後の伊野を考える「まちづくりトーク」を展開中。今後1年間かけて伊野の将来デザインを作成する予定。

【評価された点】
 小学校の統廃合問題を契機に地区住民がコミュニティ再生に向き合った結果生み出された、「村の幸福」をめざす理念と、まちづくりと学校教育を有機的にリンクする手法は、「ふるさと会員」による寄付財政の裏づけとあわせて、同様の地域課題をかかえる中山間地域のまちづくりのモデルとなりうる。
主催者賞
ITを活用した災害に強い町づくり
茨城県常総市 根新田町内会
【活動内容】
 2015年の関東豪雨災害で甚大な被害を受けた常総市根新田地区。前年の2014年から運用していた「SMS 一斉送信システム」が驚異的な効果を発揮し、住民の逃げ遅れを防ぎ、NHK シブ5時で紹介されて以来、新聞各社での報道等で大きな話題になった。2017年1月には町内会レベルでは初めての「防災用ライブカメラ」を設置し、ホームページで公開する等、ITを活用した先進的な防災の取り組みに力を入れている。各地で開催される「防災講演会」での講演依頼も20 カ所を超え、防災力の向上に少しでも役に立てればと積極的に対応している。

◎本格的な防災活動の起点
 2015年9月の「関東・東北豪雨災害」。地区の上流約4キロメートル地点で鬼怒川の堤防が決壊し、地区の殆どが床上浸水の甚大な被害を受けた。各地から災害ボランティアが続々と支援に入り、大いに励まされ、町民一丸となった復旧活動と「災害に備えた町づくり」が始まった。

◎ITを町内会の活動へ
 2014年8月、町内会の活動を公開し地域活性化の情報共有を願って、地域コミュニティサイト「わがまちねしんでん」の運用を開始。2014年10月には緊急時の情報伝達のツールとして携帯電話のショートメールを使った全町民への「SMS一斉送信システム」の運用も開始した。

◎ITを防災活動へ活用
 2015年9月10日に発生した「関東・東北豪雨災害」では、各避難所や親類宅に分散した町民と町内会を結ぶ情報共有の手段として「SMS一斉送信システム」が効果を発揮。決壊前の鬼怒川の水位情報の発信から、決壊時の避難喚起、決壊後の地区内の浸水状況や帰宅の為の道路情報、支援物資の入荷情報、災害ボランティアの手配情報など、合わせて50通の緊急情報を浸水した地区内から町民の携帯電話に発信し続けた。

◎災害犠牲者ゼロをめざして
 水害と震災各々について備える必要があった。まずは台風が接近してきた時の基本的なチェックリストの作成に取り組んだ。国交省河川事務所、常総市から提案があり、“水害時の避難行動計画マイ・タイムライン”を2017年2月に完成。台風発生から時系列的に自分は何をするのかが分かり、計画的な行動ができるようになった。
 並行して、地区内を流れる川を監視する防災カメラを、2017年1月に設置し、映像を町内会のホームページに自動転送し、公開した。
 また、在宅家族の安全が確保できたら「無事ですタオル」を玄関先に掲げて、家族の安全を告知してから隣近所の安否確認をする。要救助者がいれば「SMS一斉送信システム」を使ってメールを町民の携帯電話に一斉に発信することで、安否確認から救助までを効率的に迅速に実施する事が可能となった。
 さらに、5人の防災士が誕生し、また、各班から選出された12人の女性防災委員が組織の中核を担っている。

【評価された点】
 町内会がSMS一斉送信システムを防災に活用し、2015年の関東・東北豪雨災害の際大きな効果を発揮。その他、町内会レベル初の「マイ・タイムライン」の取組や「防災用ライブカメラ」設置など、事業の先駆性に富む。
主催者賞
仕組みづくり、人づくり、まちづくり
東京都文京区 特定非営利活動法人街ing本郷
【活動内容】
 東京の都心部である文京区本郷は、自治会、商店街、PTA、消防団、医療・福祉関係、趣味サークル、スポーツ団体などが各地域、世代、カテゴリごとに分かれて活動している。だが、連携を図ることは、できそうでできない。さらに担い手の高齢化、人手不足、組織の形骸化等により活動が停滞し始めている。そこで、既存の組織を活かしつつ、様々な活動に対して連携を図りながら、人材及び知恵などを活かしてバックアップするNPO法人があれば、街全体の活性化を図ることができると考えた。そこで、2010年、代々この地で商売を営み、地域の担い手である商店主が中心となり、NPO法人を設立。理事は、すでに自治会・商店街他、様々なカテゴリですでに活躍する者がつとめる。
 文教地区本郷という土地柄ゆえ、医療、福祉、教育の関係者をはじめ、環境、防災、都市計画、デザインなどの各分野に有能な人材がいる。2010年設立当初より参加しやすい環境づくりを行うことで、大学生、フリーランス、主婦、会社員、転入者、社会福祉法人、企業、団体等、新たな人材の方々が、活躍の場を求めて集まる。多士済々の人々が集まれば、組織の中で多様な化学反応が起こり、多様な活動が生まれ、街が活性化する。
 様々な地域課題解決をめざす当組織は、その専門知識の豊富な人材をリーダーに据え、各理事が各プロジェクト責任者を務め、まちで活動しやすい環境を整える。常時3〜5チームが稼働している。隔週月曜日の定例会にて報告・連絡・相談を行う。
 たくさんの人々があつまる仕組みができ、多様な活動が生まれた。
・本郷百貨店―『商店街×デザイナー×学生×ライター×カメラマン』
 商店主を商品に見立て、地域で商いをする想いを紹介する企画。ホームページ、情報誌、似顔絵フラッグ等々情報発信。グッドデザイン賞2015を受賞。
・文人郷―『歴史家×地方都市×デザイナー×学生×理事』
 多くの文人が本郷に居た事をブランド化。情報誌、講演会、イベント実施。出身地の地方都市と連携構築を図り、双方の地域活性化をめざす。
・ひとつ屋根の下プロジェクト―『医者×学生×シニア×デザイナー×有識者×理事』
 家に空き部屋を持つシニアと学校の近くに住みたい学生が共生する。
・書生生活―『大家×学生×自治会×デザイナー×不動産屋』
 地域と関わりながら暮らす学生の新しいライフスタイル。2018年まで25名(内4活動のみ)参加。学生の経済支援、地域の空き部屋・家活用、地域の担い手不足解消、少子高齢化社会問題、地域経済発展等々多くの地域課題解決を果たす。情報誌『書生閑話』の発行、夏休みセミナーの実施、地域の各種イベントの協力を行っている。
・黄色いしるし作戦―『自治会×消防団×デザイナー×有識者』
 高齢化した地域社会の限られた担い手の有効活用を図る。災害起きた後どうするか?地域防災意識向上も図る。
 つなげる組織による前例の無い企画・活動を実施し、まちの活性化を行う当組織に来訪者は1,000名を超える。代表理事による講演会、事例報告会の依頼は、まちづくり分野や医療福祉分野、大学、商店街等多岐にわたる。縦割り社会の仕組みを活かしながら、横串につなぐことで活性化する仕組みづくりは多種多様に活用可能と思われる。このつなげる組織による活性化は、全国各地どこでも活用できると思う。

【評価された点】
 多彩なアイディアと多様なネットワークを駆使した地域資源活用型の内発的まちづくりのコンセプトとスキルの全国的なモデルとなりうる。特に、コミュニティ機能がますます希薄化する都市地域における新たなコミュニティ再生の方法論として、多様な応用が可能である。
主催者賞
全ての人を独りぼっちにしない場づくり
東京都大田区 気まぐれ八百屋だんだん
【活動内容】
 歯科衛生士の仕事をしながら自然食のお店を手伝う中で、「週末の野菜の配達」の話があり、「食」「歯」「健康」をつなげるきっかけになるかもしれないと思い、2008年11月「気まぐれ八百屋だんだん」を始めた。スタート時点では、週末だけの野菜の配達を目的にしていたが、近所の方たちも購入したいということで、平日も少しずつお店を開くようになり、買い物にいらした方々が、身の上話や子育ての悩みなど様々な話をするようになり、井戸端会議の場へと変化していった。
 2009年、子どもたちの学習サポートの活動「ワンコイン寺子屋」を開き、そのおやつとして、味噌汁やおもち、やきいもなどを提供するようになった。八百屋で寺子屋は面白い、ということで新聞に取り上げられ、ボランティアの方々も増え、「みちくさ寺子屋」という、夕方に宿題ができるスペースとして無料開放し、学童保育のようなこともはじまった。
 そのうちに、子どもの勉強を手伝っている大人が、「学び直し」をしたいという事で、大人向けの学び直し教室が増え、このような自然な流れの中で、子どもも大人もごちゃごちゃと集う場が、徐々に増えていった。
 2010年、近所の小学校の副校長先生から「その年に入学してきた子どもの中に、お母さんがメンタルな病気を抱えていて、ご飯が作れない時は、学校の給食以外をバナナ1本で過ごしている子どもがいる」という話を聞きた。「食べることは、地域が何とかする」と先生に話し、やろうと決めたが、ロールモデルがなく、スタートにはこぎつけなかった。結果として、話に出た子どもは、児童養護施設に入り、このことが、代表者たちを大きく動かし、とにかく始めようと、2012年の夏、スタートになった。
 「こども食堂」という名前は、子どもだけで入っても怪しまれない、あたたかく迎え入れてもらえる場所であることを強調して付けた名前で、「こども食堂」の名付け親になった。また、「こども食堂」の活動が、今では全国に広がり、これまでに例を見ないうねりとなってきていて、こども食堂が、共生の場としての役割も兼ねるようになっている。
 多世代の交流の場にもなり、それぞれの活躍の場にもなり、情報共有の場、学校などを含む地域連携の拠点となり、行政では、手の届きにくいグレーゾーンへの関わりも持てるようになった。
 2015年には、「こども笑顔ミーティング実行委員会」を立ち上げ、子どもたち・親たちのために活動している方々のつながりづくりをスタートさせ、それぞれの持つスキルに光を当て、全ての活動が一緒に継続していけるよう、「居場所マップ」を作成し、黄色信号にならないよう働きかけをしている。赤信号になりそうな場合は、民間で抱え込まないよう、行政との連携も少しずつできるようになっている。
 大人も子どもも「全ての人が独りぼっちにならないように」をしっかりと柱にもち、どんな時も人のつながりを大切にして、ひとりひとりに光が当たるよう、日々の生活に密着した取り組みを続けている。
 今の社会で起きている、子どもの事件、大人の事件、自殺など様々な問題を自己責任で片付けようとすることにも疑問を感じ、全て社会の問題である事、子どもの問題は、全て大人の責任であることをみんなが気づけるような仕掛け作りをしていこうと試行錯誤している。「人への想い」をたいせつに出来る社会の再構築を目指し、身の丈に合った日々の活動を続けている。

【評価された点】
 「全ての人を一人ぼっちにしない場づくり」をテーマに、人のつながりの「場」づくりの取り組み。大人と子供が集う場、多世代の交流の場など次々と新しいかたちの「場」が生まれ、活動の輪が広がってきている。「居場所マップ」は、活動の継続を保つ有効な手立てとなる。
主催者賞
食品ロス削減と困窮者支援で地域の縁を再生
山梨県南アルプス市 認定特定非営利活動法人フードバンク山梨
【活動内容】
 日本の子どもの貧困率は13.9%(約7人に1人)、人数にすると280万人以上の子どもが貧困状態にあるとされている。なかでも、母子家庭の貧困率は54.66%と先進国の中でも最悪の水準にとなっている。その一方で、日本国内では621万トンものまだ食べられる食品が捨てられている。フードバンク活動は、このような「食の不均衡」を是正することできる活動であり、地域の企業や市民から賞味期限内でまだ安全に食べられる食品(食品ロス)を、生活困窮者や施設・団体などに無償で提供する。
 フードバンク活動から、明日の食べ物に事欠く「絶対的貧困」に近い子どもたちの現状が明らかになっている。なぜ、重篤な子どもの貧困の実態が社会には見えにくいのかというと、「人に知られたくない」「人様の世話になりたくない」などの思いがあり、SOSを出しにくくしてしまう。利用者がSOSを出しやすいように、支援する時、食品を宅配便で送るなどの配慮をしている。
 2016年に実施した子どもの貧困の把握に関する教育機関向けアンケート調査では「子どもが貧困状態にあると感じた経験」は約半数(47%)の先生が「ある」と回答し、さらに「子どもが貧困状態にあると感じたのはどの様な場面、状況ですか」という回答では、何らかの集金の未納や子どもの衣服の汚れ、綻びなどが一番多くなっている。しかし、「親からの困窮状態についての相談」という回答は最も少なく、学校で先生が貧困に気づいても、家庭に介入することは難しい状況にある。
 フードバンク山梨では、学校給食のない夏休みに食料支援・学習支援・体験型イベントなどを実施する「フードバンクこども支援プロジェクト」を始めている。このプロジェクトは、教師や行政に知られることなく支援を受けることが可能で、86校の小中学校と連携して、「見えない貧困層の子ども」を見つけ出し、多くの企業・市民が食品・運営費の寄付、ボランティアに参加できる仕組みである。
 そのひとつに一般家庭に眠る食品を集める「フードドライブ」がある。市民同士が助け合う共助の関係を築くことにつながり、また、寄付者自身が食品ロスや貧困問題を考える機会になり、昨年の冬には1週間という短期間で12トンが集まり、約6,000人の市民、企業が参加した。また、食品はボランティアにより、賞味期限の確認や箱詰めを行っている。参加者は年々増加し、2017年度は、1,372人が活動した。多くの人々の想いを乗せた食品は、生活困窮世帯に送られ、社会からの孤立を防ぎ、心の交流が行えるように、手書きの手紙と返信ハガキを同封している。
 この活動は、利用者に送る食品は誰からの寄付なのか顔の見える関係ではなく、寄付者にとっても誰を支援しているのか分からない仕組みになっている。それはこれまでの顔と顔の見える縁ではない、新しい縁と言えるだろう。
 全国でそのような新しい縁の再生のために、民間団体が活躍していくことが大切だと思い、子どもたちが、夢や希望を失わないように、今を生きる大人たちができることから行動に移し、「賛同から参加へ」と呼びかけている。

【評価された点】
 食品ロス問題に取り組むフードバンク運動の中でも全国的に突出した成果を上げると同時に、支援・活動内容も次第に貧困問題を掘り下げる多様なくらしづくりへと発展を遂げつつあり、モデルとして推奨するに値する。
主催者賞
「奥播磨かかしの里」のかかし製作・設置による過疎集落の活性化
兵庫県姫路市 ふるさとかかし親の会
【活動内容】
 「ふるさとかかし親の会」は、地元の兵庫県姫路市安富町で、かかしを製作、姫路市最奥の住民14名の過疎・高齢化の進んだ集落の一帯にかかしを設置し、「奥播磨かかしの里」として見物客を呼び込む村おこしを行っている。
「かかし」といっても、一般的にイメージされる一本足のかかしではなく、本物の人間そっくりのかかしであり、素朴でほのぼのとした姿・表情を特徴としていることから「ふるさとかかし」とネーミングした。のどかな山里に、かかしを使って郷愁あふれる「日本の原風景」を再現することにより、訪れる人には癒しを、過疎で寂しくなる地元住民には村に誇りを持ち、訪れる人と交流することで元気になればと考え、取り組みを行っている。
 現在までの製作数は約380体で、その内約130体を地元の「奥播磨かかしの里」に設置しているほか、イベント展示や貸出し対応用に約100体を倉庫に保管する。
 また、かかしの製作を知った各地の店舗や施設から製作依頼を受け約150体が、京都・大阪・神戸などを中心とした都市部に設置されている。このかかし設置の店舗・施設を「かかしの里親団体」として組織化し、「ふるさとかかしサミット」などのイベントにも参画する。
 村にある段々畑、古びて傾いた作業小屋、火の見櫓、バス停などはもちろん、廃屋に至るまで昔懐かしい風情を醸し出すものはすべて地域資源と考え、その保全と活用に取り組む。
 代表的なものが空き家古民家を活用した「ふるさとかかしギャラリー」である。築100年以上は経つ古民家で、20年近く空き家で不要物の置き場になっていた建物を周辺の畑とともに一体的に整備し、かかしの展示スペースとしている。また、村の共同倉庫で、長い年月にわたり不要物が放置されていた建物を、自治会の理解と協力により整備し、「かかしの教室」として展示する。この2つの施設は見物客の休憩・交流の場でもあり、年に何回かの「縁側カフェ」や「野外カフェ」などのイベントも開催する。
 かかしの里は一年を通していつでもかかしが展示されているが、季節イベントとして、2月〜3月には「奥播磨かかしの里のひなまつり」、11月には「ふるさとかかしサミット」を開催する。「ひなまつり」イベントは冬場の集客対策として、かかしの里ならではのかかしによる等身大のひな人形を展示。「かかしサミット」は、かかしで町おこしをしている県内外の団体や、かかしを設置している店舗・施設(里親団体)がかかしと共に集合して交流を図るイベントで、住民14名の集落が、この日だけは見物客が3,000人ほど訪れ、賑わう。
 最近では「かかしの里」の情報を耳にし、自分たちの地域でもかかしによる町おこしをしたいとの相談も受けており、将来的には、各地の過疎地域にそれぞれの風景に合った「かかしの里」を展開、各地域の情報をネットワーク化し「かかしの里」の魅力をPR、「かかしの里めぐりツアー」が企画できるまでになればと考えている。
 また、この「ふるさとかかし」を地域ブランドとして商品化、店舗・施設のディスプレー、各種イベントでの展示などに活用し、地域ブランドとして確立することにより、地元住民の郷土への誇り、かかし製作に携わることでの生きがいづくりにつながればと考えている。
 この村おこしは過疎集落の資源をそのまま活用し、コストや労力も多くは必要とせず、過疎地でも取り組みが可能で、持続性の面でも問題はなく、過疎の進行を逆手に活用した村おこしの切り札となる。昔懐かしい民家・田畑・小川の残る山里風景は貴重な観光資源」「何の変哲もない過疎の集落でも工夫しだいで魅力のある村になる」との想いで取り組みを行っている。

【評価された点】
 過疎の山村における「交流人口」型のまちづくりとして「かかし」をシンボルとした里山風景の再評価をねらう手法はユニークであり、かつ、手間やコストをさほどかけずに実行可能な点は、普遍性を有している。
振興奨励賞
岩手県滝沢市 上の山自治会まごころ除雪隊  行政・業者と住民三者協働による除雪
埼玉県ふじみ野市 NPO法人ふじみ野明るい社会づくりの会  あなたのいい顔見たい
東京都調布市 グッドモーニング仙川!プロジェクト(仙川みつばちプロジェクト)  はちみつの採れる街をみんなで創る地域活動
新潟県十日町市 中手地域づくり会  高齢化率90% 中手集落の挑戦
長野県松本市 特定非営利活動法人NPOホットライン信州  地域の居場所信州こども食堂ネットワーク
岐阜県岐阜市 岐阜キッズな(絆)支援室  子どもの貧困の連鎖を防ぐ総合的支援
静岡県裾野市 裾野市東地区おやじの会  「日常の関係」づくりで地域を「自分事」に
京都府京都市北区 一般財団法人まちの縁側クニハウス&まちの学び舎ハルハウス  世代間交流の地域活動を続けて
大阪府寝屋川市 摂南大学ボランティア・スタッフズ  よそ者・若者・大学生による社会貢献活動
大阪府柏原市 河内国分ようする会  古民家を活用して、町にのぎわい創り
兵庫県神戸市灘区 都賀川を守ろう会  清流を取り戻し、美しい川を次代に引き継ぐ
兵庫県姫路市 銀の馬車道まちづくりラボラトリー(兵庫県立大学環境人間学部・宇高ゼミ)  大学生による地域資源の探求とまちづくり活動:「銀の馬車道」を舞台にして
兵庫県芦屋市 涼風町自治会  自治会費0円!負担が楽しいに変わる自治会
和歌山県海南市 げんき大崎  地域の魅力を発信し持続可能な地域をめざす「げんき大崎」
徳島県徳島市 一般社団法人徳島地域エネルギー  地域の再エネ資源(竹等)による地域づくり
香川県善通寺市 NPO法人子育てネットくすくす  子育てを楽しみ・学び合い・支え合う親子のセカンドホーム
高知県高知市 特定非営利活動法人土佐山アカデミー  「遊び心」で課題を解決。高知をもっと面白く!
福岡県福岡市東区 和白干潟を守る会  博多湾・和白干潟の豊かな自然を守る
福岡県筑紫野市 NPO法人筑紫野市「障害」児・者問題を考える会  共に生き、共に学ぶ地域社会・まちづくり
鹿児島県伊佐市 山野を元気にする会  山野を元気にする会